日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-DS 防災地球科学

[H-DS11] 湿潤変動帯の地質災害とその前兆

2022年5月31日(火) 11:00 〜 13:00 オンラインポスターZoom会場 (14) (Ch.14)

コンビーナ:小嶋 智(岐阜大学工学部社会基盤工学科)、コンビーナ:内田 太郎(筑波大学)、苅谷 愛彦(専修大学文学部環境地理学科)、座長:小嶋 智(岐阜大学工学部社会基盤工学科)、苅谷 愛彦(専修大学文学部環境地理学科)、内田 太郎(筑波大学)

11:00 〜 13:00

[HDS11-P05] ベトナム北西部山地斜面崩壊地域における地形・地質・気象・土地利用

*古市 剛久1,2村上 亘1、岡本 隆1、志水 克人1渡壁 卓磨1、山口 智1大丸 裕武1 (1.森林総合研究所、2.サンシャインコースト大学)

キーワード:斜面崩壊、土地利用、山地路網、ベトナム北西部

ベトナムでは2020年に7個の台風が中部地域に上陸あるいは接近して大雨を降らせ,大雨により発生した斜面崩壊が土砂災害を引き起して世界的な注目を集めた(Tien et al. 2021).しかし,1991-2015年の統計によれば(JICA 2018),土砂災害による人口千人当たりの死者数は最も山がちな「北西部地域」が最も多く,同地域における斜面崩壊の頻度の高さや土砂災害に対する脆弱な地域社会の状況を示唆している(森林総研 2021).近年のGoogle Earth画像及びその他衛星画像を基にした観察では,ベトナム北西部地域においてはダー河中流部左岸(ラオカイ省, イェンバイ省)の,比高が大きく,火成岩(花崗岩・流紋岩)が分布する地域において表層崩壊が多発していること,ダー河上流部左岸(ライチャウ省)の堆積岩分布域で比較的大きな斜面崩壊が発生していることが分かった(古市ほか 2021).

ベトナムにおける斜面崩壊の研究としては,ベトナム地球科学鉱物研究所調査チームによってベトナム北部14省の地すべり地形分布図が作成され,その中では10149の斜面崩壊が認定されており,同地における斜面崩壊調査研究の基礎資料として活用されている(Hung et al. 2017).また,日本・ベトナムの合同チームによる研究が行われ(佐々 2016),ベトナム各地での調査結果を基に地質構造,基盤特性,風化特性などに着目して斜面崩壊発生の要因とメカニズムを検討・考察した成果が報告されている(Tien et al. 2016; Abe et al. 2021).

本発表では,予察で明らかになった近年の表層崩壊などベトナム北西部における斜面崩壊について,既往研究の成果を参照しつつ,現地調査(2022年2月実施予定)で得られるデータも加え,地形,地質,降雨,土地利用の面からその実態と特徴に関する分析の進捗を紹介する.