日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-DS 防災地球科学

[H-DS12] 中部日本におけるサブダクションと活断層ハザード

2022年6月1日(水) 11:00 〜 13:00 オンラインポスターZoom会場 (17) (Ch.17)

コンビーナ:吾妻 崇(国立研究開発法人産業技術総合研究所)、コンビーナ:鈴木 康弘(名古屋大学)、座長:吾妻 崇(国立研究開発法人産業技術総合研究所)

11:00 〜 13:00

[HDS12-P02] 活断層の長期評価と地震動予測に関する住民アンケート調査

*光井 能麻1鷺谷 威1 (1.名古屋大学減災連携研究センター)

キーワード:活断層、長期評価、地震動予測、リスク

活断層で発生する地震に関して、地震調査研究推進本部(以降、地震本部)では長期的な地震発生確率や地震動予測地図を公表している。
 活断層地震の発生頻度は非常に低く、活断層調査で得られる知見も量・質ともに限られるため、活断層の長期評価は大きな不確実性を有する。したがって、長期評価や地震動予測地図を地震リスク情報として一般社会に発信する際は、科学的な妥当性・防災行政における情報の理解と活用・情報の受け手である地元住民の受け止め方などの多様な視点で、適切な内容や発信方法を検討する必要がある。
 公表結果の地元住民の受け止め方に関して、地震本部では一般国民を対象とする調査を実施している(文部科学省、2011-2019)。しかし、この調査は全国を対象としているため、個別の活断層の評価結果に対する地域住民の認識は調査されていない。

 そこで本研究では、主要活断層帯の一つである屏風山-恵那山断層帯及び猿投山断層帯に着目し、地域住民を対象とするアンケート調査を実施した。地震について知りたい情報や、地震本部の公表情報に関する理解度などをたずねた結果、居住地域で起こりうる被害について最も関心が高いことや、公表情報から被害の可能性を理解する際にやや困難を生じることが示唆された。現在の公表情報に加えて、地震動と被害とをつなぐ情報が提供されることにより、地域住民の理解が促進されると考えられる。また、現在一般的には示されていない情報(居住地域で起こらない被害(例:津波の可能性はない)、民間が発表する地震予測情報の信頼度)もニーズがあることが明らかになった。その他、いくつかの設問では属性(年代、性別)による回答傾向の違いがみられたため、今後の課題として、属性に伴う生活スタイルなどの違いに着目した追調査に基づく分析が望まれる。
 なお、本研究は文部科学省からの受託事業「屏風山—恵那山断層帯及び猿投山断層帯における重点的調査観測」のサブテーマとして実施している。