日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-QR 第四紀学

[H-QR04] 第四紀:ヒトと環境系の時系列ダイナミクス

2022年5月22日(日) 10:45 〜 12:15 202 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:山田 和芳(早稲田大学)、コンビーナ:田村 亨(産業技術総合研究所地質情報研究部門)、堀 和明(東北大学大学院理学研究科地学専攻)、コンビーナ:卜部 厚志(新潟大学災害・復興科学研究所)、座長:山田 和芳(早稲田大学人間科学学術院)、堀 和明(東北大学大学院理学研究科地学専攻)、田村 亨(産業技術総合研究所地質情報研究部門)、卜部 厚志(新潟大学災害・復興科学研究所)

11:30 〜 11:45

[HQR04-04] 地球の気候と古代文明に及ぼした太陽風の影響

*唐澤 信司1 (1.宮城工業高等専門学校 名誉教授)

キーワード:気候変動、歳差運動、太陽風 、氷河時代、ストーンサークル、古代文明

1. 地球の自転および公転が及ぼす天候への影響のメカニズム
 地球の自転は、毎日の天候の変化が緯度に沿って移動し、同じ緯度に広がり、その天候の範囲は経度に沿って西から東に数日間のサイクルで地球を移動しています。「太陽風の運動は地上では平均自由行程がミクロンメートルという大気の上空で分子との衝突によって大気に吸収され、その大気の分子が地球を周回しています。地球の大気の東側を高速で通過する太陽風は、西側の減速効果よりも効果が大きいので、天候を東から西に移動させています。太陽の照射や太陽風は地球の自転軸の傾き状態に応じた角度で地球に衝突します。従来の通説は太陽風を「地磁気が太陽風を防ぐ」としていますが、なぜ反時計回転方向に自転する地球の表面よりも早く、大気が反時計方向に回転するのかその大きな駆動力を説明できません。
2. 天候に地球の歳差運動が及ぼす影響の抽出と表現の方法
 地球の公転にともなう地球の自転軸の傾きによる変化は1日に1回転であり、地歳差運動による自転軸の変化は26,000年に1回転する。地球の歳差運動は公転周期の26,000分の1です。数百年の時間スケールで地球の自転軸の歳差運動によって発生する気候の変化を調べます。そこで、公転による変化を連続した千年単位の区切りで平均化して、その点の時間進行の座標で歳差運動の自転軸の変化の影響を表します。現在の地球の自転軸の向きは23.4°であり、26,000年後に自転軸は23.4°に戻るとします。
3. 地球の歳差運動が人間の活動に及ぼした影響
 太陽光や太陽風の照射角度の変化によって地球規模の風向きの変化が起こり、局地的に気候悪化や乾燥化が発生して、人間の活動が影響を受けてきたことが考古学や歴史学で明らかにされています。
3.1 B.C. 11,000 [歳差運動の回転軸の傾斜角: -24°]
 地球は北西方向から南西に向かう太陽風を受けて、北半球では氷河が発達しました。その地球規模の冬の季節は次第に春に向かい、氷河が後退し、温暖化により場所によっては人間が定住生活を始めました。
3.2 B.C. 4,500[歳差運動の回転軸の傾斜角: 0°]
 地球は太陽の照射を赤道上中心で受け、地球規模の大気の流れは真西に向かう温かい地球の時代になりました。日本では高い気温により縄文海進の時代ななりB.C. 4,000年頃に海水面の上昇がピークに達していました。しかし、数百年後には、歳差運動の季節は夏から秋に向かい季節の変化が復活したので、太陽の位置による季節を知るストーンサークや神殿等の建造物が作られました。都市が出現し、農産物の交易だけでなく神殿も作り、宗教行事が行われるようになりました。B.C.3100年頃はメソポタミアでは都市国家が覇を争う時代が始まりました。
3.3 B.C. 3,000[歳差運動の回転軸の傾斜角: 5.5°]
 エジプトではB.C. 3,100~B.C. 2850年に国家が統一された。B.C.2,500年頃、インダス側流域にインダス文明が起こった。B.C.2,200年頃、太陽の照射を正面に受ける地域が北回帰線側に進み、南西から北東に向かう太陽風の効果によりアフリカのサハラ地域が乾燥化ました。サハラ砂漠で乾燥した大氣が西側に流れたので、パレスチナ、エジプト、メソポタミア、インダス川流域、チベット高原など広い地域が長期間の水不足の状態に陥り、幾つもの古代文明が崩壊しました。
3.4 A.D. 2,000[歳差運動の回転軸の傾斜角: 23.4°]
 現在、南西から北東に向かう太陽風の効果が最大です。しかし、人間の活動による地球温暖化が進行していて、そのメカニズムの解明が急務とされています。
4. まとめ
地球の自転の歳差運動による気象への影響を表現する方法を示して、その地球の歳差運動の影響が人類の歴史に及んでいることをあきらかにしました。