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[HRE13-P11] 炭酸カルシウムのバイオミネラリゼーションにおける有機酸の影響
キーワード:バイオミネラル、炭酸カルシウム、有機酸、バイオセメント
バイオセメンテーションは,生物学的な反応によってCaCO3のようなセメント物質を生成する新しい技術である。この技術はバイオミネラリゼーションを利用しており,土壌の固化や地盤強化に応用できる。我々はCaCO3の析出方法として酵素や微生物を用いた炭酸塩析出技術(EICP: enzymatically induced carbonate precipitation/MICP: microbially induced carbonate precipitation)を開発した。この手法では,尿素分解酵素(ウレアーゼ)が尿素を加水分解することで重炭酸塩とアンモニウムイオンが発生し,Ca2+イオンの存在下でCaCO3が生成する。穏やかな条件で反応を進行させCaCO3を生成することができるため,従来のセメント固化に代わる環境負荷の低い技術と期待される。
バイオミネラルは有機物と無機物の複合材料であり,材料としても優れた物理的・化学的性質を有する。バイオミネラルの形態は,貝殻や生物の外骨格に含まれるタンパク質や多糖などの有機物によって厳密に制御されている。バイオミネラルの形態制御は,バイオミネラルやバイオセメンテーション技術の次世代工業材料への適用範囲を拡大できる可能性がある。
これまでに,化学的なCaCO3の析出において有機酸が結晶構造や形態に影響を与えることが報告されている。そこで本研究では,EICPによるCaCO3の析出において有機酸が結晶構造や形態に与える影響についての調査を行った。代謝産物である酢酸,プロピオン酸,ピルビン酸,クエン酸,ホスホエノールピルビン酸をそれぞれ添加した系で,pH7.5,25℃の条件において,ウレアーゼの酵素反応により炭酸カルシウムを析出させた。洗浄後,凍結乾燥した析出物をSEM-EDSおよびXRDにより分析した。
我々のこれまでの実験では,EICP法によって生成するCaCO3は主にカルサイトであったが,酢酸,プロピオン酸,ピルビン酸の存在下では,菱面体カルサイトと球状バテライトが析出した。これらの有機酸は,炭酸カルシウム結晶の表面に吸着してカルサイトの結晶成長を阻害したため,バテライトが生成したと考えられる。一方,クエン酸とホスホエノールピルビン酸では大きく異なる挙動が見られた。クエン酸添加系では,微小な菱面体カルサイトから成る球状結晶が観察され,クエン酸がカルサイトの凝集体形成に寄与することが示唆された。ホスホエノールピルビン酸の存在下では,CaCO3はすべてアモルファスとして析出した。以上のことから,EICP法においても有機酸がCaCO3の結晶多形や形態に影響を与えることが明らかになった。
バイオミネラルは有機物と無機物の複合材料であり,材料としても優れた物理的・化学的性質を有する。バイオミネラルの形態は,貝殻や生物の外骨格に含まれるタンパク質や多糖などの有機物によって厳密に制御されている。バイオミネラルの形態制御は,バイオミネラルやバイオセメンテーション技術の次世代工業材料への適用範囲を拡大できる可能性がある。
これまでに,化学的なCaCO3の析出において有機酸が結晶構造や形態に影響を与えることが報告されている。そこで本研究では,EICPによるCaCO3の析出において有機酸が結晶構造や形態に与える影響についての調査を行った。代謝産物である酢酸,プロピオン酸,ピルビン酸,クエン酸,ホスホエノールピルビン酸をそれぞれ添加した系で,pH7.5,25℃の条件において,ウレアーゼの酵素反応により炭酸カルシウムを析出させた。洗浄後,凍結乾燥した析出物をSEM-EDSおよびXRDにより分析した。
我々のこれまでの実験では,EICP法によって生成するCaCO3は主にカルサイトであったが,酢酸,プロピオン酸,ピルビン酸の存在下では,菱面体カルサイトと球状バテライトが析出した。これらの有機酸は,炭酸カルシウム結晶の表面に吸着してカルサイトの結晶成長を阻害したため,バテライトが生成したと考えられる。一方,クエン酸とホスホエノールピルビン酸では大きく異なる挙動が見られた。クエン酸添加系では,微小な菱面体カルサイトから成る球状結晶が観察され,クエン酸がカルサイトの凝集体形成に寄与することが示唆された。ホスホエノールピルビン酸の存在下では,CaCO3はすべてアモルファスとして析出した。以上のことから,EICP法においても有機酸がCaCO3の結晶多形や形態に影響を与えることが明らかになった。