日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-SC 社会地球科学・社会都市システム

[H-SC06] 地球温暖化防⽌と地学(CO2地中貯留・有効利⽤、地球⼯学)

2022年6月1日(水) 11:00 〜 13:00 オンラインポスターZoom会場 (15) (Ch.15)

コンビーナ:徂徠 正夫(国立研究開発法人産業技術総合研究所地圏資源環境研究部門)、コンビーナ:薛 自求(公益財団法人 地球環境産業技術研究機構)、愛知 正温(東京大学大学院新領域創成科学研究科)、コンビーナ:今野 義浩(The University of Tokyo, Japan)、座長:薛 自求(公益財団法人 地球環境産業技術研究機構)、今野 義浩(The University of Tokyo, Japan)、愛知 正温(東京大学大学院新領域創成科学研究科)、徂徠 正夫(国立研究開発法人産業技術総合研究所地圏資源環境研究部門)

11:00 〜 13:00

[HSC06-P09] CO2の貯留および風化促進に対する玄武岩の適用性評価

*徂徠 正夫1石塚 治2山崎 徹3藤井 孝志1 (1.国立研究開発法人産業技術総合研究所地圏資源環境研究部門、2.国立研究開発法人産業技術総合研究所活断層・火山研究部門、3.国立研究開発法人産業技術総合研究所地質情報研究部門)

キーワード:玄武岩、CO2地中貯留、風化促進、炭酸塩鉱物化、CO2-水-岩石相互作用、浸透率

アイスランドCarbFixプロジェクトにおけるCO2の早期鉱物化の成功を起点として、近年、玄武岩を活用したCO2貯留や風化促進への関心が高まっている。本研究では、国内において貯留や風化促進に進む前の基礎検討の段階として、玄武岩そのもののCO2鉱物化への適用性についての知見を取得することを目的とする。

国内の玄武岩産地の中から、活動時期、化学組成および産状の異なる玄武岩質噴出物が採取可能な地域を抽出した。今回は将来の海域におけるCCSの調査、開発の可能性も踏まえ、海洋島火山に類似した特性を持つと考えられる玄武岩類を重点的に調査、試料採取を実施した。具体的には、活動時期が数百万年前に相当する1)長崎県壱岐、2)山口県・島根県を中心とした山陰地方、および3)新潟県佐渡と、活動時期がジュラ紀後期〜白亜紀までと非常に古い4)北海道道央・道東、の計4地域を対象とした。これらの地域の玄武岩には、アイスランド(CarbFIXプロジェクト)と同等の化学組成のみならず、Ca、Mg、Fe、K、Si等の量比が異なる多様な化学組成のものが含まれる。なお、北海道地域においては、玄武岩よりも著しくCaや重金属に富む超苦鉄質岩類についても、非変質のものから蛇紋岩に変質したものまで、系統的な試料採取を行った。いずれの岩石の採取に際しても、発泡した部分と緻密な部分、含有鉱物の粒度が粗く完晶質なものと細粒でガラス質(現在は変質)のものなど、様々な産状のものを含めるよう留意した。

採取した岩石について、全岩化学組成分析、薄片観察による鉱物組成分析、粉末X線回折による鉱物種同定、活動時期を明らかにするための40Ar/39Ar年代測定、水銀圧入法による空隙率測定等を進めている。今後はこれらの結果に基づいて、鉱物化および浸透性の観点から有望な岩石のスクリーニングを行い、CO2-水-岩石系での反応実験あるいはCO2の浸透実験により定量的な評価を行う予定である。