日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-TT 計測技術・研究手法

[H-TT19] 環境リモートセンシング

2022年6月2日(木) 11:00 〜 13:00 オンラインポスターZoom会場 (19) (Ch.19)

コンビーナ:齋藤 尚子(千葉大学環境リモートセンシング研究センター)、コンビーナ:入江 仁士(千葉大学環境リモートセンシング研究センター)、島崎 彦人(独立行政法人国立高等専門学校機構 木更津工業高等専門学校)、コンビーナ:石内 鉄平(宮城大学)、座長:齋藤 尚子(千葉大学環境リモートセンシング研究センター)

11:00 〜 13:00

[HTT19-P01] 複数衛星データによるGOSAT/TANSO-FTS観測視野内の雲判定の検証

*中山 広生1齋藤 尚子1 (1.千葉大学)

キーワード:GOSAT、ひまわり8号、CALIPSO、雲判定、検証

GOSAT(Greenhouse Gases Observing Satellite)/TANSO(Thermal and Near Infrared Sensor for Carbon Observation)-FTS(Fourier Transform Spectrometer)の観測スペクトルから温室効果ガスを導出する際、観測視野内に雲が存在すると雲による太陽放射および地球放射の散乱・反射や吸収の効果により観測されるスペクトルが影響を受けてしまうため、正確な濃度導出が困難になる。そのため、昼間についてはTANSO-CAI(Cloud and Aerosol Imager)、TANSO-FTSのSWIR(Short-wavelength infrared)バンド、夜間はTANSO-FTSのTIR(thermal infrared)バンドを用いて、TANSO-FTSの観測視野内の雲判定を行っている。齋藤・北村 [2021]では、ひまわり8号搭載のAHI(Advanced Himawari Imager)の反射率と輝度温度データを用いたTANSO-FTSの観測視野内の雲判定手法を開発し、GOSATの雲判定を検証した。本研究では、ひまわり8号/AHIに加えて、CALIPSO(Cloud-Aerosol Lidar and Infrared Pathfinder Satellite Observations )に搭載されたCALIOP(Cloud-Aerosol LIdar with Orthogonal Polarization)の雲判定データを用いて、GOSAT(TANSO-CAI、TANSO-FTSのSWIRバンドおよびTIRバンド)、ひまわり8号、CALIPSOの雲判定比較を行い、GOSAT/TANSO-FTS観測視野内の雲判定の検証を行った。
まず、GOSAT、ひまわり8号、CALIPSO の三者の近傍観測点で比較を試みた。2016年1月、4月、7月、10月のデータについて、TANSO−FTSとの観測時刻差が1分以内(ひまわり8号)もしくは10分以内(CALIPSO)であり、かつTANSO−FTSの観測視野内にその観測グリッドの中心が存在しているすべてのひまわり8号とCALIPSOの観測グリッドを抽出した。三者比較の結果、GOSATの雲判定ではTANSO-FTSのSWIRバンドを追加することで光学的に薄い巻雲を検出できるようになったことが確認できた。
次に、GOSATとCALIPSOの近傍観測地点の検出を試みたところ、2016年1月、4月、7月、10月について両者の観測時間差が10分以内のデータを計323ペア抽出することができた。比較の結果、GOSATとCALIPSOの比較では雲判定の一致率が高いことがわかり、さらに、TANSO-FTSの観測視野内にCALIPSOのデータが2つ以上存在する場合は1つの場合に比べて雲判定が一致している割合が高いことがわかった。夜間の海上で、観測視野内のCALIPSOのデータがTANSO-FTSの観測視野内に2つ以上存在しているケースでは、GOSAT/TANSO-FTSのTIRバンドとCALIPSOの雲判定の一致率は84%と高いが、下層雲、光学的に薄い巻雲をTIRバンドの雲判定が見逃している地点もあることが確認できた。昼間の海上では、GOSATのSWIRバンドがCALIPSOで観測された光学的に薄い巻雲を検知できていることがわかった。