日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-TT 計測技術・研究手法

[H-TT19] 環境リモートセンシング

2022年6月2日(木) 11:00 〜 13:00 オンラインポスターZoom会場 (19) (Ch.19)

コンビーナ:齋藤 尚子(千葉大学環境リモートセンシング研究センター)、コンビーナ:入江 仁士(千葉大学環境リモートセンシング研究センター)、島崎 彦人(独立行政法人国立高等専門学校機構 木更津工業高等専門学校)、コンビーナ:石内 鉄平(宮城大学)、座長:齋藤 尚子(千葉大学環境リモートセンシング研究センター)

11:00 〜 13:00

[HTT19-P03] PlanetScope衛星データと深層学習を用いたアジア山岳地域における氷河湖の自動検出

*山田 奈穂1奈良間 千之1飯田 佑輔1 (1.新潟大学)


キーワード:氷河湖決壊洪水、深層学習、リモートセンシング

近年の地球温暖化の影響により,アジア山岳地域では氷河の後退が著しく,氷河前面には融氷水が溜まった氷河湖が多数形成されている.これらはたびたび決壊し,「氷河湖決壊洪水」と呼ばれる洪水による被害が報告されている.
対象地域である天山山脈に位置するテスケイ山脈(キルギス共和国)には小規模の氷河湖が数多く分布する.1998年以降に11件の「氷河湖決壊洪水」が生じており,150名ほどの犠牲者,インフラ施設,家屋の倒壊が報告されている(Narama et al.,2018).この地域の氷河湖は,東ヒマラヤ地域のように継続して拡大するタイプでなく,わずか数ヶ月で形成・出水を起こす短命氷河湖とよばれるタイプである(例えばNarama et al.,2010,Daiyrov and Narama 2021).氷河湖決壊洪水の被害の軽減を考えるうえで,短期に拡大する短命氷河湖の出現を監視するには,高時間分解能,高解像度,広範囲での氷河湖モニタリングが必要となる.しかしながら,広域,高時間分解能での氷河湖の検出には多くの時間,人手を必要とする.さらに光学衛星画像は撮影時の天候や時間により,湖のスペクトルが変化するという問題点があり,NDWIによる正規化指数を用いた水域検出の手法は時系列比較を必要とする場合での閾値決定が難しく,水域の自動抽出は極めて困難である.
そこで本研究では,高時間分解能,高解像度である光学衛星画像PlanetScopeと深層学習を用いて天山山脈の小規模氷河湖の自動検出する手法の構築を試みた.さらに,実際に利用する光学衛星画像におけるモデル精度の評価をおこなった.