日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-TT 計測技術・研究手法

[H-TT20] 浅部物理探査が目指す新しい展開

2022年6月2日(木) 11:00 〜 13:00 オンラインポスターZoom会場 (20) (Ch.20)

コンビーナ:尾西 恭亮(国立研究開発法人土木研究所)、コンビーナ:横田 俊之(国立研究開発法人 産業技術総合研究所)、磯 真一郎(公益財団法人 深田地質研究所)、コンビーナ:木佐貫 寛(応用地質株式会社)、座長:横田 俊之(国立研究開発法人 産業技術総合研究所)、尾西 恭亮(国立研究開発法人土木研究所)

11:00 〜 13:00

[HTT20-P07] 機械学習を用いた地中レーダ記録による橋梁床版の状態判別

*尾西 恭亮1 (1.国立研究開発法人土木研究所)

キーワード:橋梁床版、地中レーダ、機械学習、劣化

RC橋梁はコンクリート床版が劣化し粒状化する土砂化現象により急速な強度低下が生じることが問題となっている。橋梁床版の抜け落ちの被害を防ぐために、地中レーダによる非破壊検査手法による早期発見が求められている。
しかし、地中レーダによる橋梁床版の記録は、表基層の修復履歴、亀裂などの状態、表基層や床版の水分率、床版の劣化などの、多数の要因により影響を受ける。これらの信号応答は異なる影響の仕方を受ける。
例えば、床版のみが滞水している領域では、床版上面の往復走時は変化せず、鉄筋の往復走時が延びる。また、床版上面の反射振幅が大きくなる。一方、表基層に修復履歴が存在する場合は、床版上面の往復走時が変化している。
このため、床版の劣化や、床版の水分率の高い領域などの、求める状態の領域のみを特定するには、探査記録を多方面から分析する必要が生じる。これには、多大な労力と、高い技術力を要求する。このため、抽出精度向上のためには、機械学習などによる判別支援技術が求められる。
 本研究では、主なアトリビュートとして、床版上面や上部鉄筋の、反射走時や反射強度、周波数を用意した。CNNアーキテクチャには主にAlexNetを用いた。一度の学習および判定に用いた記録数は、正誤同数で合わせて258~444である。これを7:3の割合で学習用と判定用に分類して分析した。これらと、床版開削結果との比較を行い、相関性の高い記録の評価を行った。
劣化域の判定精度は、鉄筋反射波の周波数が最も高く、床版上面の反射振幅や走時が次に続いた。床版下面の振幅も相関性が高かった。一方で、鉄筋深度は相関性が低かった。複合的な判定解析手法の精度向上に、本研究の基礎結果を用いることができる。