14:30 〜 14:45
[HTT21-04] 人対車両事故の発生箇所予測に関する基礎的研究
キーワード:人対車両事故、コンパクトシティ、危険度予測
研究背景・目的 交通事故の件数は年々減少傾向にあるが、未だにその件数は多く、令和3年度の交通事故発生件数は30,5425件【1】と現在の我が国でも大きな問題であることに変わりはない。
また、近年では環境面や経済面から、集約型都市構造に着目がされている。それに付随し、自動車への過度の依存を避けるために交通安全の視点から集約型都市を検討する研究も進んでおり、森本ら【2】は集約型都市における交通安全性について、都市間比較を行うことで都市のコンパクト化が交通事故を減少させる傾向があることを示した。集約型都市の特徴としては、高密度で人口,建物が集まり、用途混合、被自動車依存が挙げられる。このように主要な都市構造が一定のエリアに集中することで、移動距離が短く、徒歩や公共交通がトリップの主要な交通機関分担率となることが予想される。
人対車両の横断中の死亡事故は平成23年度では529件、令和3年度では262件と減少傾向にある【3】ものの、依然として高い数値である。徒歩の移動手段が現在よりも増加することが見込まれるため、当然人対車両事故の増加も考えられる。本研究では、集約型都市で発生する横断違反や信号無視の危険箇所予測をおこなうことを目的としている。 研究方法 人対車両事故が発生する場合、歩行者の歩行速度(具体的には横断違反時の飛び出しの速度や信号無視時の歩行速度など)や、歩行位置などが発生確率に関係すると考えられる。そのため本研究では、録画された映像から解析をおこなう方法を用いる。映像から運動解析ソフトを使用し、歩行者の軌跡,歩行速度を取得する。 既往研究 横断中に実際に事故が起こったうち、歩行者が違反していた件数を年齢別に表すと、大人より子供の方が違反件数は多くなり、6歳以下では76.2%もの割合になる。【4】さらに、事故を起こした6歳以下の40.3%が飛び出しの事故となり、反対に大人の16歳以上では2%となり、子供の飛び出し事故の割合が非常に多くなっていることがわかる。
さらに横断歩道における歩行者の信号無視の傾向に関しての研究もなされており、森ら【5】によれば、歩行者用信号のある横断歩道では青点滅表示及び赤表示中に横断歩道に到着した歩行者に占める横断を実行した者の割合は、非高齢者よりも高齢者や移動制約者の方が少ないことが確認されている。しかしながら違反者のうち信号無視が21.9%なのに対し、横断違反(横断歩道外横断、走行車両の直前直後の横断等)は69.5%となる。【6】
松井ら【8】によると自転車乗員、車両運転者共に建物などの障害物により見通しが悪く、相手を認識できない場合、出会い頭での交通事故に至る可能性が極めて高くなることが分かっている。また、小川ら【9】は道路ネットワークデータのうち、交差点形状(4肢と3肢の割合),細街路の集約状況,横断可能箇所数(交差点以外の横断箇所)の3種の要因に着目し,3種の要因がそれぞれ異なる仮想道路ネットワークを作成することにより,道路ネットワーク特性が交通事故遭遇確率に及ぼす影響の分析をおこなっている。その結果、出発地・目的地間の距離が小さい場合には歩道の双方向通行の交通事故遭遇確率が小さく、出発地・目的地間の距離が大きくなるにつれて車道の左側一方向通行の交通事故遭遇確率が小さくなることが示された。また、仮想道路ネットワークを用いることで道路ネットワーク特性に関する 3 種の要因が交通事故遭遇確率に及ぼす影響を個別に分離して把握することができている。具体的には、細街路との交差点の割合が大きいほど、3 肢交差点の割合が大きいほど、横断可能箇所数が大きいほど、双方向通行と左側一方向通行の交通事故遭遇確率が逆転する出発地・目的地間の距離が小さくなっており、いずれの要因も交通事故遭遇確率に影響を及ぼしていることが示されている。
研究内容 調査地域は奈良県桜井市の桜井駅前(南出口)広場とし、桜井駅で10月29日-31日、11月20日-21日に固定カメラで人流を記録した。また、これらの期間ではイベントが開催されていた。昼間の最も人数が多い時間帯を1時間半記録し、映像から軌跡を抽出した。その結果、その結果曲がり角や障害物などがある箇所では軌跡の密度が高くなる傾向が見られた。 まとめ 本研究では歩行者の通行位置や通行速度などは映像を用いて解析をおこなった。これらの結果から発生箇所の予測をおこなっていきたい。
また、近年では環境面や経済面から、集約型都市構造に着目がされている。それに付随し、自動車への過度の依存を避けるために交通安全の視点から集約型都市を検討する研究も進んでおり、森本ら【2】は集約型都市における交通安全性について、都市間比較を行うことで都市のコンパクト化が交通事故を減少させる傾向があることを示した。集約型都市の特徴としては、高密度で人口,建物が集まり、用途混合、被自動車依存が挙げられる。このように主要な都市構造が一定のエリアに集中することで、移動距離が短く、徒歩や公共交通がトリップの主要な交通機関分担率となることが予想される。
人対車両の横断中の死亡事故は平成23年度では529件、令和3年度では262件と減少傾向にある【3】ものの、依然として高い数値である。徒歩の移動手段が現在よりも増加することが見込まれるため、当然人対車両事故の増加も考えられる。本研究では、集約型都市で発生する横断違反や信号無視の危険箇所予測をおこなうことを目的としている。 研究方法 人対車両事故が発生する場合、歩行者の歩行速度(具体的には横断違反時の飛び出しの速度や信号無視時の歩行速度など)や、歩行位置などが発生確率に関係すると考えられる。そのため本研究では、録画された映像から解析をおこなう方法を用いる。映像から運動解析ソフトを使用し、歩行者の軌跡,歩行速度を取得する。 既往研究 横断中に実際に事故が起こったうち、歩行者が違反していた件数を年齢別に表すと、大人より子供の方が違反件数は多くなり、6歳以下では76.2%もの割合になる。【4】さらに、事故を起こした6歳以下の40.3%が飛び出しの事故となり、反対に大人の16歳以上では2%となり、子供の飛び出し事故の割合が非常に多くなっていることがわかる。
さらに横断歩道における歩行者の信号無視の傾向に関しての研究もなされており、森ら【5】によれば、歩行者用信号のある横断歩道では青点滅表示及び赤表示中に横断歩道に到着した歩行者に占める横断を実行した者の割合は、非高齢者よりも高齢者や移動制約者の方が少ないことが確認されている。しかしながら違反者のうち信号無視が21.9%なのに対し、横断違反(横断歩道外横断、走行車両の直前直後の横断等)は69.5%となる。【6】
松井ら【8】によると自転車乗員、車両運転者共に建物などの障害物により見通しが悪く、相手を認識できない場合、出会い頭での交通事故に至る可能性が極めて高くなることが分かっている。また、小川ら【9】は道路ネットワークデータのうち、交差点形状(4肢と3肢の割合),細街路の集約状況,横断可能箇所数(交差点以外の横断箇所)の3種の要因に着目し,3種の要因がそれぞれ異なる仮想道路ネットワークを作成することにより,道路ネットワーク特性が交通事故遭遇確率に及ぼす影響の分析をおこなっている。その結果、出発地・目的地間の距離が小さい場合には歩道の双方向通行の交通事故遭遇確率が小さく、出発地・目的地間の距離が大きくなるにつれて車道の左側一方向通行の交通事故遭遇確率が小さくなることが示された。また、仮想道路ネットワークを用いることで道路ネットワーク特性に関する 3 種の要因が交通事故遭遇確率に及ぼす影響を個別に分離して把握することができている。具体的には、細街路との交差点の割合が大きいほど、3 肢交差点の割合が大きいほど、横断可能箇所数が大きいほど、双方向通行と左側一方向通行の交通事故遭遇確率が逆転する出発地・目的地間の距離が小さくなっており、いずれの要因も交通事故遭遇確率に影響を及ぼしていることが示されている。
研究内容 調査地域は奈良県桜井市の桜井駅前(南出口)広場とし、桜井駅で10月29日-31日、11月20日-21日に固定カメラで人流を記録した。また、これらの期間ではイベントが開催されていた。昼間の最も人数が多い時間帯を1時間半記録し、映像から軌跡を抽出した。その結果、その結果曲がり角や障害物などがある箇所では軌跡の密度が高くなる傾向が見られた。 まとめ 本研究では歩行者の通行位置や通行速度などは映像を用いて解析をおこなった。これらの結果から発生箇所の予測をおこなっていきたい。