日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-TT 計測技術・研究手法

[H-TT21] 地理情報システムと地図・空間表現

2022年6月3日(金) 11:00 〜 13:00 オンラインポスターZoom会場 (18) (Ch.18)

コンビーナ:小荒井 衛(茨城大学理学部理学科地球環境科学コース)、コンビーナ:田中 一成(大阪工業大学工学部都市デザイン工学科)、中村 和彦(東京大学)、座長:小荒井 衛(茨城大学理学部理学科地球環境科学コース)、田中 一成(大阪工業大学工学部都市デザイン工学科)、中村 和彦(東京大学)

11:00 〜 13:00

[HTT21-P03] 大学生を対象としたオンライン授業におけるWeb-GISを用いた地図作成学習

*中村 和彦1 (1.東京大学)

キーワード:地図作成、大学生、WebGIS、オンライン授業

地理等の分野における学習活動において、地図は重要な教材である。専門家によって作成された既製の地図を読み取ることはもちろん、自ら地図を作成する活動も学習活動として有効と考えられる。特に近年、Web-GISの普及が進み、一般的なPC端末を用いた地図作成が学習活動に利用しやすい状況となっている。発表者は以前に、大学生を対象としたOpenStreetMapによる地図づくり学習の試行を行ったところ、その学習過程で馴致環境の未知化や風景異化などに類する学習効果がみられた(中村 2015)。この成果を受け、Web-GISを用いた地図作成を主眼に据えた大学の授業『地図情報と生活』を、2018年度より開講した。当初は大学における週1コマの対面授業形式で実施して想定の学習効果が得られていた。しかし、2020年度よりCOVID-19感染拡大の影響によりオンライン授業を余儀なくされたため、対面時に準ずる学習効果が得られるよう授業形式に合わせて細部を修正しながら実施した。本研究の目的は、これらの授業形式の差異が大学生の地図作成学習の過程に及ぼした影響を検討することである。
『地図情報と生活』の授業は、地図についての基礎的な知識の修得、地図作成および地図利用についての基礎的な技術の修得、地図情報を日常生活に活かすための知識と技術の修得の3点を到達目標としている。前半はOpenStreetMapを用いた一般図作成を行い、後半はjSTAT MAPを用いた主題図作成を行う。2018年度と2019年度は従来の対面形式で、2020年度はオンライン会議システムZoomを用いたリアルタイムでのオンライン授業(以下、リアルタイム形式)で、2021年度は教育支援システムmanabaを用いた非同期のオンデマンド授業(以下、オンデマンド形式)で、それぞれ授業を行った。学習過程への影響を検討するために、各年度の履修登録者、授業参加者、単位取得者の各人数を比較するとともに、各授業における履修学生の感想等の内容を定性的に分析した。
各年度の履修登録者/授業参加者/単位取得者は、それぞれ2018年度(対面形式)が6/6/5、2019年度(対面形式)が18/17/12、2020年度(リアルタイム形式)が12/9/7、2021年度(オンデマンド形式)が31/30/22であった。特に授業後半のjSTAT MAPによる主題図作成では、多くの学生に対して個別での質問対応などフォローが必要となるが、オンラインでもリアルタイム形式(2020年度)であれば、授業参加者がそれほど多くなかったこともあって対面時と同じように個別対応を行うことができ、単位取得率を高水準に維持できた。オンデマンド形式(2021年度)では、個別対応が非同期のテキストベースになったこともあり、履修登録者および授業参加者が4年間で最大となった反面、単位取得率はやや低水準となったが、単位取得者の感想等からは想定の学習効果が得られていることも示唆された。