13:45 〜 14:00
[MAG39-01] 気圏環境におけるトリチウム計測技術
★招待講演
キーワード:トリチウム、気圏
トリチウム(T)は、弱いβ線を放出して半減期12.3年でヘリウム-3(He-3)に壊変する水素の放射性同位体であり、自然界には天然起源と人為起源のものが存在する。自然界に存在するトリチウムはその99%が大気中の水蒸気や雨水、陸水・海水にHTOの化学形態として存在し、水循環過程に伴い地球表層を移動することから、そのトリチウム濃度情報は水素・酸素安定同位体比と共に水蒸気を含む気塊のトレーサー、地下水の滞留時間推定にも利用されている。一方、福島第一原子力発電所の廃炉に向けてトリチウムを含む処理水の海洋放出やその環境影響と関連した風評被害が関心を集めている。環境中のトリチウムを測定する際は低バックグラウンド液体シンチレーションカウンターを用いるのが一般的であるが、日本における濃度は測定装置の検出下限値付近で推移しているため、電気分解による濃縮操作を実施後に測定するのが一般的である。一方、気圏環境におけるトリチウムは、主に水蒸気状(HTO)、分子状(HT)および炭化水素状(主にメタン:CH3T)として存在しており、酸化して水として回収することで計測が可能となる。
本発表では、気圏を対象としたトリチウム計測のための試料採取法と計測技術について報告する。
本発表では、気圏を対象としたトリチウム計測のための試料採取法と計測技術について報告する。