日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-AG 応用地球科学

[M-AG39] ラジオアイソトープ移行:福島原発事故環境動態研究の新展開

2022年5月31日(火) 11:00 〜 13:00 オンラインポスターZoom会場 (33) (Ch.33)

コンビーナ:津旨 大輔(一般財団法人 電力中央研究所)、コンビーナ:恩田 裕一(筑波大学アイソトープ環境動態研究センター)、コンビーナ:高橋 嘉夫(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)、コンビーナ:桐島 陽(東北大学)、座長:津旨 大輔(一般財団法人 電力中央研究所)、恩田 裕一(筑波大学アイソトープ環境動態研究センター)

11:00 〜 13:00

[MAG39-P05] 福島第一原子力発電所(FNPP1)事故後の環境放射能に関するデータセット その2

*青山 道夫1、大谷 直子1恩田 裕一1 (1.筑波大学 生命環境系 アイソトープ環境動態研究センター)

キーワード:福島第一原子力発電所、データセット、デジタルオブジェクト識別子、環境放射能

2019年6月から、DOI、デジタルオブジェクト識別子を使用して環境放射能データを公開するプロジェクトを開始し、この3年間、環境放射能研究ネットワークセンターのプロジェクトERANの下でデータベースサイトからデータセットを公開している。地球、海洋、大気、生物、人間の環境に関係なく、福島第一原子力発電所(FNPP1)事故後の環境放射能に関するすべての測定データとサンプルのメタデータは英語のサイトでDOIとともにデータベースサイトからこの公開できる。公開だけでなく、このシステムでは、時間、緯度、経度、高度/深度、空間、放射性核種の名前、およびサンプルのタイプを指定することで、このサイトにあるすべての生データを串刺しで検索できる。
このプレゼンテーションでは、本システムの概要を紹介し、今後の必要な行動について議論する。FNPP1事故後に測定された多くのデータは研究者や政府機関によって保持されているが、それらの一部は生データは公開されておらずあるいは日本語で書かれたレポートのみである。このような場合、それらは消滅し、将来の世代に引き継がれないことになる。従って、これらのデータを収集しフォーマットし、DOIを付加して出版する必要がある。また書誌情報を作成し合わせて公開できる。我々の活動は、生データが次の世代のために残ることを保証するものである。このサイトでのデータ公開に加えて、IAEAや日本の政府機関、規制機関などからさまざまな形式ですでに公開されているデータも合わせて串刺しで検索することが出来る。
また、測定データだけでなくFNPP1事故関連論論文のリストおよび現物試料のアーカイブの情報もDOIを付与して公開している。試料のアーカイブ情報のうち現存量は使用状況に応じて変化するため、アーカイブされたサンプルの既存の量は使用状況に応じて変化する可能性があるため、公開されたデータセットのデータ検索システムと同じように、データ検索システムを介して最新のサンプル量の情報を取得できるようになっている。
また当サイトのオープンポリシーは、Creative Commons Attribution 4.0 InternationalLicenseの下で完全に公開されている。
2022年1月現在、DOIを付与して38のデータセットが公開され、55のデータセットが進行中である。このデータベースサイトへのアクセス数は1か月あたり約150〜260であり、各データセットのダウンロード数は1か月あたりデータセットあたり約数〜10である。また、モデルシミュレーションの結果の比較的大きなデータセットを公開する準備をしている。このモデルシミュレーションの結果の公開用に、ユニットあたり24 TBの容量を持つネットワーク接続ストレージ(NAS)の運用を開始した。ネットワークダウンロード速度の容量のため、モデルシミュレーションの結果のデータセットのサイズは128GB未満にするように設計した。これにより、通常サイズのデータセットだけでなく、大きなデータセットも公開できるようにした。
今後の課題は、データの種類と数を増やすことと、システムを使いやすくすることである。次世代の研究のためにデータ提供にご協力ください。データセットを投稿してください。