11:00 〜 13:00
[MGI32-P02] Spatial distribution of heavy and carbonate minerals beneath the seafloor in the Nankai Trough and Shikoku Basin using X-ray CT data
キーワード:南海沈み込み帯、方解石、バライト、X線コンピュータトモグラフィー、国際深海掘削計画、国際深海科学掘削計画
海洋地殻および堆積物内の鉱化流体の動きは地殻の脆性や浸透率といった特性を変え,これは沈み込み帯の周囲および付加体内の変形に大きな影響を与えうる.形成された充填鉱物帯が地殻の変形にどのように影響するかを理解するには,それぞれの鉱化作用が起こっている深度や層準を明らかにする必要がある.堆積物や岩石のX線コンピュータートモグラフィー(XCT)画像は充填鉱物を検出し観察するのに有効である.本研究では,国際深海掘削計画(ODP)サイト808,1173,1174および国際深海掘削計画(IODP)サイトC0023で採取した地質コア試料のXCTデータを用いて,室戸沖南海トラフの海底下の充填鉱物帯の空間分布を調べた.これらのうち,サイト1173は南海トラフの海側に位置し,その他のサイトは南海付加体の先端部に位置する.主な岩相は中期中新世以降の半遠洋性およびトレンチ充填堆積物と基盤の玄武岩である.
平均CT値の深度プロファイルは,4つのサイトすべてで同様のパターンを示した. CT値は,主にX線吸収量に影響する試料密度に対応し,空気と水のCT値をそれぞれ-1000および0として規格化した値を用いた.堆積物の平均CT値は,深度とともに約1100から1800まで徐々に増加する傾向を示した.このような大局的なパターンに加えて,平均CT値が2000から9000に達する正のスパイクが3つの区間で観察された:1)海溝–海盆漸位相から上部四国海盆相までの区間,2)下部四国海盆相の頂部からデコルマンまたはプロトデコルマンまでの区間,および3)下部四国海盆相の下部区間,である.
CT値が異常に高い領域について,3D XCT画像と肉眼観察を比較しながら産状を観察して,Type A,Type B,Super High CT Area,の3つに分類した.そして,Type Aは主に楕円体の方解石のコンクリーション,Type Bは主に生痕化石を置換した黄鉄鉱が2000-10,000の高CT値の原因だと判断した.Type A, Bは上記の3つの区間全てで観察された.Super High CT Areaは10,000を超える高いCT値で特徴づけられ,上記した炭酸塩に伴う形や割れ目を充填する形で存在していた.また,区間(2)と(3)で観察された.サイト808およびC0023では,バライト(BaSO4),アンハイドライト(CaSO4),およびロードクロサイト(MnCO3)がデコルマンの周囲および下に存在することが報告されており(Alexander et al., 1999; Tsang et al., 2020),おそらくこれらの重鉱物がSuper High CT Areaを作っている.4つのサイトすべてに同じ層序で異常なCT値が存在することは,南海付加体の最も海側の部分で同様の鉱化作用プロセスが起こっていることを示す.すなわち,本研究の結果から石灰質コンクリーションと熱水性鉱物充填帯の両方が地層に拘束されており,調査地域全体で起こったことが示唆される.これらの鉱物充填は岩石の強度特性に影響を与えるため,付加体の変形過程にも影響を与える可能性がある.
平均CT値の深度プロファイルは,4つのサイトすべてで同様のパターンを示した. CT値は,主にX線吸収量に影響する試料密度に対応し,空気と水のCT値をそれぞれ-1000および0として規格化した値を用いた.堆積物の平均CT値は,深度とともに約1100から1800まで徐々に増加する傾向を示した.このような大局的なパターンに加えて,平均CT値が2000から9000に達する正のスパイクが3つの区間で観察された:1)海溝–海盆漸位相から上部四国海盆相までの区間,2)下部四国海盆相の頂部からデコルマンまたはプロトデコルマンまでの区間,および3)下部四国海盆相の下部区間,である.
CT値が異常に高い領域について,3D XCT画像と肉眼観察を比較しながら産状を観察して,Type A,Type B,Super High CT Area,の3つに分類した.そして,Type Aは主に楕円体の方解石のコンクリーション,Type Bは主に生痕化石を置換した黄鉄鉱が2000-10,000の高CT値の原因だと判断した.Type A, Bは上記の3つの区間全てで観察された.Super High CT Areaは10,000を超える高いCT値で特徴づけられ,上記した炭酸塩に伴う形や割れ目を充填する形で存在していた.また,区間(2)と(3)で観察された.サイト808およびC0023では,バライト(BaSO4),アンハイドライト(CaSO4),およびロードクロサイト(MnCO3)がデコルマンの周囲および下に存在することが報告されており(Alexander et al., 1999; Tsang et al., 2020),おそらくこれらの重鉱物がSuper High CT Areaを作っている.4つのサイトすべてに同じ層序で異常なCT値が存在することは,南海付加体の最も海側の部分で同様の鉱化作用プロセスが起こっていることを示す.すなわち,本研究の結果から石灰質コンクリーションと熱水性鉱物充填帯の両方が地層に拘束されており,調査地域全体で起こったことが示唆される.これらの鉱物充填は岩石の強度特性に影響を与えるため,付加体の変形過程にも影響を与える可能性がある.