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[MGI34-03] 堆積物コア試料のCTデータを用いた、超高解像度地質データ抽出の可能性
キーワード:X線CT、層序変化、大量データ処理
X線CT スキャンは、堆積物の内部構造や構成要素の状態を非破壊, 迅速, 高解像度で把握することができる。近年の研究により、CT値を用いた、物性、鉱物組成変化復元の可能性が提示され、地質学分野への将来的な応用例が増えることが予想されている。多くの解析例の提示は、CT撮影によって得られる大量データ解析法の発達に大きく貢献できる。本研究では、高知大学海洋コア総合研究センターで撮影(取得)された柱状堆積物試料を用いた。CT撮影には、TOSHIBA XXを用い、XX mmの空間解像度のCT voxelが取得された。コア全体を通じたCT値は、ガウス混合分布を示し、複数の母集団に分離できることが示された。例として、南極周辺のKH19-6 PC01コアでは、(1)-1000程度、(2)0近辺の小さなピーク, (3) 1000付近の大きく幅広いピークがCT値のヒストグラムから目視で確認できた。(1)は空隙、(2)堆積物試料のプラスティックケースないしは、堆積物の懸濁液、(3)は堆積物であると予想される。(3)は統計的に複数の集団(クラスター)に区分でき、堆積層の変化を高い解像度で復元・可視化することが可能である。加えて、高緯度域の海洋生堆積物には、IRDといった砕屑物が混入することがある。CT値を用いて、IRDに相当するであろうvoxel数を検出することが可能である(IRD-voxels)。IRDの粒子数を実際にカウントした(IRD-count)とIRD-voxelsは似通った傾向を示した。しかしながらIRD-countsは粒子の数を、IRD-voxelsはIRD相当の粒子のvoxel数と異なった事象を表現しているため、相互保管には用いることはできない。利用には注意事項が発生するが、CT値の新しい活用法として十分に活用できる。本発表成果は、元来CT撮影画像の確認にとどまっていた多量のCTデータを解析することで、新規の情報を高解像度で抽出できる可能性を十分に示す結果となった。