11:00 〜 13:00
[MGI34-P01] 日本列島の岩相ごとの面積比と化学組成データが示す、日本列島弧の地球化学的特徴の理解に当たっての現状と課題
キーワード:地球化学データベース、シームレス地質図、地質区分、日本列島の化学的特徴
日本列島の地質構成要素の面積比は、日本列島の地質図が完備して以来、それぞれの時代における地質研究の動向に応じて、多くの研究が発表されてきた。また、日本列島の地質構造発達の地球化学分野からの検討も、各時代における化学分析の動向、および地質発達モデルの構築と改訂を反映しながらすすめられてきた。これらの研究を通した、日本列島の地球化学的な発達プロセスの解析は、今なお進行中の研究課題である。
原口他(2020年連合大会)では、日本列島地殻構成要素の岩相ごとの「東西差」を、地球化学データベース「DODAI (Haraguchi et al., 2018)」に収録されたデータを基に、地殻の化学組成の形成過程を考察した。一方、同データベースの化学組成データと、地質調査所発行のシームレス地質図に基づく、岩相ごとの露出面積比との比較から、岩相ごとの化学組成データ数が大きく異なることが明らかになった。
シームレス地質図では、岩相大区分として「火成岩」「堆積岩」「変成岩」に加えて、1980年代以降の付加体の研究進展に伴い、「付加体」の項目が立てられている。一方、「付加体」はテクトニクスを反映した区分のため、個々の論文では、付加体地質でも「火成岩」「堆積岩」「変成岩」の従来の岩相区分に基づくものが多い。
DODAI収録のデータでは、深成岩のデータ数が全体の約37%と、シームレス地質図での面積比の約11%に対して多く、深成岩への地球化学分野からの注目度が高いことが窺える。一方で、変成岩は、面積比は付加体を含めて約19%に対して、DODAI収録データは約8%と少なく、化学方面からのアプローチの難しい分野であることが窺える。また、各岩相の「小区分」(例えば、堆積岩の小区分としての砂岩や泥岩など)では、区分の仕方によっては化学データ数が極端に少ない、あるいは化学データの振り分けが困難な岩相が発生する。また、「礫岩」「砂泥互層」「混在岩(メランジュ)」等の地質区分に対して、化学研究では、その中の個々の構成要素を対象とした研究が主なため、化学組成からの関連付けが困難な岩相があり、個別の岩層、そしてさらに日本列島地殻の平均組成を求める上での課題になっている。本報告では、これらの地質、地球化学データの特徴に基づく、日本列島の地球化学組成を考える上での現状と課題を紹介したい。
謝辞
シームレス地質図に基づく岩質ごとの面積比算出にあたり、ご協力いただいた産総研・西岡芳晴氏に感謝いたします。
原口他(2020年連合大会)では、日本列島地殻構成要素の岩相ごとの「東西差」を、地球化学データベース「DODAI (Haraguchi et al., 2018)」に収録されたデータを基に、地殻の化学組成の形成過程を考察した。一方、同データベースの化学組成データと、地質調査所発行のシームレス地質図に基づく、岩相ごとの露出面積比との比較から、岩相ごとの化学組成データ数が大きく異なることが明らかになった。
シームレス地質図では、岩相大区分として「火成岩」「堆積岩」「変成岩」に加えて、1980年代以降の付加体の研究進展に伴い、「付加体」の項目が立てられている。一方、「付加体」はテクトニクスを反映した区分のため、個々の論文では、付加体地質でも「火成岩」「堆積岩」「変成岩」の従来の岩相区分に基づくものが多い。
DODAI収録のデータでは、深成岩のデータ数が全体の約37%と、シームレス地質図での面積比の約11%に対して多く、深成岩への地球化学分野からの注目度が高いことが窺える。一方で、変成岩は、面積比は付加体を含めて約19%に対して、DODAI収録データは約8%と少なく、化学方面からのアプローチの難しい分野であることが窺える。また、各岩相の「小区分」(例えば、堆積岩の小区分としての砂岩や泥岩など)では、区分の仕方によっては化学データ数が極端に少ない、あるいは化学データの振り分けが困難な岩相が発生する。また、「礫岩」「砂泥互層」「混在岩(メランジュ)」等の地質区分に対して、化学研究では、その中の個々の構成要素を対象とした研究が主なため、化学組成からの関連付けが困難な岩相があり、個別の岩層、そしてさらに日本列島地殻の平均組成を求める上での課題になっている。本報告では、これらの地質、地球化学データの特徴に基づく、日本列島の地球化学組成を考える上での現状と課題を紹介したい。
謝辞
シームレス地質図に基づく岩質ごとの面積比算出にあたり、ご協力いただいた産総研・西岡芳晴氏に感謝いたします。