日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-GI 地球科学一般・情報地球科学

[M-GI35] 情報地球惑星科学と大量データ処理

2022年5月22日(日) 09:00 〜 10:30 301B (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:村田 健史(情報通信研究機構)、コンビーナ:野々垣 進(国立研究開発法人 産業技術総合研究所 地質調査総合センター)、本田 理恵(高知大学自然科学系理工学部門)、コンビーナ:深沢 圭一郎(京都大学学術情報メディアセンター)、座長:本田 理恵(高知大学自然科学系理工学部門)、村田 健史(情報通信研究機構)

10:00 〜 10:15

[MGI35-05] 360度カメラとPTZカメラを併用したVR空間への遠隔地映像リアルタイム投影システムの紹介

*川鍋 友宏1村田 健史1山本 和憲1、東海林 淳二1長妻 努1、川口 友和2、佐藤 圭2、岡山 周平3、田村 浩之3青木 俊樹4 (1.国立研究開発法人情報通信研究機構、2.宮城県加美農業高等学校、3.株式会社フォトロン、4.株式会社クレアリンクテクノロジー)

キーワード:映像IoT、農業、遠隔実習

廉価なスタンドアロン型VRヘッドセットの登場によりVR市場の裾野が広がった現在、VR装置はもはや特別なものでは無くなり、今後様々な分野で仮想的な体験装置として応用利用が進むと考えられる。筆者らはこれまで、映像IoTを用いた地域見守り映像伝送システムの研究開発を進めており、遠隔からのPTZ(パン・チルト・ズーム)機能を有するIPネットワークカメラの導入を提案してきた。また、これと並行して3DWebGIS(Webベースの三次元地理情報システム)を、WebVRによりVRヘッドセット内に全天球表示するシステムの研究開発も行っている。
これらの成果を応用し、遠隔地のPTZカメラ映像と360度カメラ画像を、前述の映像伝送システムを用いてVRヘッドセット内に同時投影し、360度画像で空間全体を観察し、必要に応じて任意の場所をPTZカメラによる精細なリアルタイム映像で観察できるプロトタイプシステムを開発した(図1)。本システムは宮城県加美農業高校に設置され、遠隔農業実習用途を目的に実験中である。本システムの特徴の1つは、撮影地からの映像伝送を通信帯域や遅延量が不安定で大きく変動する4G/LTEモバイル通信網においても高いリアルタイム性と映像伝送品質を保証する映像伝送プロトコルであるhpvt[1]を用いていることであり、本システム実験環境下において、フルHD画質の映像を25fpsで表示できることを確認した。また、VRハンドルコントローラを使ったPTZ操作も概ね1秒以内に完了した。本システムは通常の平面ディスプレイでは得られない臨場感を伴う映像閲覧が可能であり、かつ比較的安価にシステムを構成可能であるため、地球科学分野を含め多方面に役立つと考えられる。

[1] https://www.nict.go.jp/info/topics/2018/02/180213-1.html