日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[E] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS03] The Southern Ocean and the Antarctic Ice Sheet dynamics in past, present and future

2022年6月2日(木) 11:00 〜 13:00 オンラインポスターZoom会場 (32) (Ch.32)

コンビーナ:草原 和弥(海洋研究開発機構)、コンビーナ:岡 顕(東京大学大気海洋研究所)、野木 義史(国立極地研究所)、コンビーナ:津滝 俊(国立極地研究所)、座長:草原 和弥(海洋研究開発機構)、岡 顕(東京大学大気海洋研究所)、野木 義史(国立極地研究所)、津滝 俊(国立極地研究所)

11:00 〜 13:00

[MIS03-P01] 約40万年前の間氷期における南大洋インド洋区の海洋表層・深層環境の復元

*松井 浩紀1、Isabelle Billy2、Olivier Ther2、Xavier Crosta2池原 実3 (1.秋田大学大学院 国際資源学研究科、2.フランス・ボルドー大学、3.高知大学海洋コア総合研究センター)

キーワード:MIS 11、海洋前線、有孔虫

約40万年前の間氷期である海洋酸素同位体ステージ(MIS)11において,全球平均気温は産業革命前よりも2度上昇していた可能性がある.そのため,未来の地球環境と類似した過去の温暖期としてMIS 11は注目されており,気候変動に敏感な南大洋の当時の海洋環境を復元する意義は大きい.本研究では,南大洋インド洋区のクロゼ諸島周辺で採取された2地点の海底堆積物を対象として,MIS 11の海洋表層・深層環境を有孔虫化石群集から復元する.2地点は現在の亜南極前線(南大洋の海洋前線の1つ)に対する位置が異なり,前線の北に位置するMD19-3576地点と,前線の南に位置するMD19-3578地点である.
MD19-3576コアについて,MIS 11の浮遊性有孔虫化石群集を解析した結果,寒帯種であるNeogloboquadrina pachydermaが最小で9%産出した.同種の相対頻度を表層堆積物由来の換算式に適用すると,MIS 11の夏季の海洋表層水温は最大で10.6度と推定された(復元誤差:±1.7度).同地点の表層堆積物の復元水温は約9.7度であり,MIS 11の復元水温と誤差の範囲内であった.一方,MD19-3578コアについて,N. pachydermaは少なくとも22%産出し,MIS 11の復元水温は最大で9.4度と推定された.同地点の表層堆積物の復元水温は約6.3度であり,MIS 11の復元水温が有意に高い値を示した.上記の結果は,MIS 11において亜南極前線が現在よりも南下し,2地点ともに前線の北に位置したことを示している.発表では底生有孔虫化石群集の結果も併せて報告し,MIS 11における南大洋の海洋表層・深層環境を議論する.