日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[E] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS06] アストロバイオロジー

2022年6月2日(木) 11:00 〜 13:00 オンラインポスターZoom会場 (33) (Ch.33)

コンビーナ:藤島 皓介(東京工業大学地球生命研究所)、コンビーナ:薮田 ひかる(広島大学大学院理学研究科地球惑星システム学専攻)、杉田 精司(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)、コンビーナ:深川 美里(国立天文台)、座長:藤島 皓介(東京工業大学地球生命研究所)

11:00 〜 13:00

[MIS06-P07] 高速度衝突時の微生物滅菌過程の再評価に向けた取り組み

*黒澤 耕介1木村 駿太2鈴木 志野2、Fujita Kazuhisa2大野 遼1岡本 尚也1、Matsui Takafumi1 (1.千葉工業大学 惑星探査研究センター、2.JAXA)

ある天体で生じた生命が宇宙空間を移動し, 他の天体にたどり着く過程は古くから検討されてきた. このようにして地球に生命がもたらされたとする考えはPanspermia仮説と呼ばれている. 天体衝突は火星サイズ以下の天体の表層物質を脱出速度まで加速可能であることからパンスペルミアの有力な駆動力の一つであると考えられている. また近年では惑星保護•検疫という文脈でもこのような検討が重要となっている. 火星圏において, 火星への天体衝突で放出された物質が火星衛星に堆積しており, 火星衛星探査計画MMXが火星衛星の土壌に加えて火星からの物質を持ち帰る可能性が高いことが示されている. 火星には現在でも火星上で生じた生命体が存在している可能性を否定できないことから, 火星衛星から持ち帰る試料に繁殖可能な生命体が含まれることも考えられる. これは惑星検疫問題とよばれ, 火星衛星から持ち帰る試料の安全性を評価する必要がある.
岩体に内包された生命体があったとしても, 天体衝突による高歪速度変形に伴う昇圧, 昇温に耐えられるかどうかは自明でない. パンスペルミア仮説の実現可能性, あるいは火星から火星衛星への物質移動時の生存率を調べるため微生物の衝撃耐性を調べる実験は報告されている. しかし文献調査をしてみると実験自体の困難さからデータ数が限られる, 実験系が天然衝突の条件からかけ離れているなど, 問題が多いと我々は考えている. そこで我々は現実の系に近づけつつ効率よく微生物の衝撃耐性を評価する実験系と手法を確立すべく検討を開始した. 今回はその検討について報告する.