日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[E] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS09] Effects of lightning, severe weather and tropical storms

2022年6月1日(水) 11:00 〜 13:00 オンラインポスターZoom会場 (30) (Ch.30)

コンビーナ:佐藤 光輝(北海道大学 大学院理学研究院)、コンビーナ:久保田 尚之(北海道大学)、Lopez Glenn Vincent C.(0)、コンビーナ:Purwadi Purwadi(Weather Modification Service Laboratory, The National research and Innovation Agency of Indonesia )、座長:佐藤 光輝(北海道大学 大学院理学研究院)

11:00 〜 13:00

[MIS09-P01] フィリピン・マニラ首都圏における、機械学習を用いた降雨の短期予測

★招待講演

*野田 明羅1高橋 幸弘2久保田 尚之2、福井 健一3佐藤 光輝2 (1.北海道大学大学院理学院宇宙理学専攻、2.北海道大学大学院理学院、3.大阪大学産業科学研究所)

キーワード:極端降雨、機械学習、ナウキャスト

集中豪雨の発生、時空間変化、絶対量などを正確に予測することは難しい。その理由の一つは、従来の気象観測機器やネットワークでは、局地的な豪雨域やそれに伴う積乱雲の急速な発達を検知することが非常に困難であるためである。気象観測インフラが比較的脆弱なフィリピン・マニラでは、モンスーンや台風による大雨や洪水などの大規模災害が毎年発生しており、費用対効果の高い気象予報技術の確立が急務となっている。そこで、自動気象雷観測システム「P-POTEKA」を開発し、マニラ首都圏に配備した。現在までに、メトロマニラには35台のP-POTEKAが設置され、1分ごとに気象データの取得を続けている。日本のアメダス(The Automated Meteorological Data Acquisition System)が平均17km間隔で配置されているのに対し、マニラ首都圏のP-POTEKAは平均2〜3km間隔で配置され、異常気象の監視に適した世界最高水準の空間・時間分解能の観測網となっている。 35基のP-POTEKAで得られた降雨等の気象データを用いて、ガウス過程回帰によりデータを補間し、50×50のグリッドデータを作成した。 これらの連続した降雨・気象データをConvLSTM(Convolutional Long-Short Term Memory)と呼ばれる機械学習モデルに学習させることにより、過去1時間の観測データを用いて現在から1時間後までの10分間隔の降雨量分布と時間雨量を予測することができました。 観測データと予測データの平均二乗誤差(RMSE)、R2スコアを算出し、機械学習手法の性能を評価した。 その結果、ConvLSTMを用いた降雨予測は、現在から30分後までは比較的正確であるが、現在から30分後以降は予測精度が悪くなっていることが分かった。 また、このモデルは降雨の弱まりをよく予測するものの、降雨の発生や強まりを正確に予測することはできなかった。 発表では、ConvLSTMを用いた機械学習手法の詳細と、マニラ首都圏の降水量の予測結果をより詳細に紹介する。