日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[E] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS10] Interdisciplinary studies on pre-earthquake processes

2022年5月30日(月) 11:00 〜 13:00 オンラインポスターZoom会場 (31) (Ch.31)

コンビーナ:服部 克巳(千葉大学大学院理学研究科)、コンビーナ:劉 正彦(国立中央大学太空科学研究所)、Ouzounov Dimitar(Center of Excellence in Earth Systems Modeling & Observations (CEESMO) , Schmid College of Science & Technology Chapman University, Orange, California, USA)、コンビーナ:Huang Qinghua(Peking University)、座長:服部 克巳(千葉大学大学院理学研究科)、Ouzounov Dimitar(Center of Excellence in Earth Systems Modeling & Observations (CEESMO) , Schmid College of Science & Technology Chapman University, Orange, California, USA)、劉 正彦(国立中央大学太空科学研究所)、韓 鵬(南方科技大学)

11:00 〜 13:00

[MIS10-P01] MODISデータを用いた2018年新燃岳の火山活動検知に関する研究

*北出 明嗣1金子 柊1吉野 千恵1服部 克巳1 (1.千葉大学)

世界には数多くの活火山が存在し、火山噴火による溶岩活動や火砕流などによって人命に関わる甚大な被害をもたらすことで、我々の生活に大きな影響を与えてきたが、全活火山を地上から連続監視することは、地形学的、経済学的に困難である。また過去に経験や観測データに基づく経験的予測は、地震や地殻変動などの物理観測に加えて、過去の噴出物から噴火様式や噴火間隔の解析をすることも必要であるため経験的予測によってすべての活火山を連続監視することも困難とされている。
 火山災害の多くは溶岩の噴出や火砕流などの地表付近の熱量の変動を伴う。人工衛星を用いた衛星リモートセンシングは地表面温度を広範囲にわたって高頻度で観測が可能である。したがって、従来では容易に地上観測できない位置にある活火山の効率的な火山活動監視が可能になり、防災・減災の観点から応用が期待されている。そこで本研究では人工衛星Aqua,Terraに搭載されている赤外線センサ(MODIS)を用いて、噴火口付近の地表面温度を観測することによって火山活動に伴う溶岩ドームや溶岩流といった強い熱源を検知することを目的とする。
 本研究では、宮崎県と鹿児島県の県境に位置する新燃岳を研究対象とした。新燃岳では2011年に準プリニー式噴火やブルカノ式噴火が発生し、溶岩ドームの成長、火砕流などが確認されたことが報告されている。Tsutsumi et al.2020では2003年1月1日~2011年12月31日までのMODISデータを解析したところ、2011年の噴火活動について衛星SAR画像や飛行機による目視による溶岩ドームの確認よりも早く地表面温度の異常を検知した。そこで本研究では、噴火様式がほぼ同じとされていて溶岩ドームが形成された2018年の噴火活動を解析対象とし、2012年1月1日~2020年12月31日までのMODISデータを解析することでMODISによる溶岩活動の監視予測における有効性を検証した。
 解析を行った結果、先行研究と同様に溶岩ドーム出現、成長やブルカノ式噴火が発生した日に対応して地表面温度の異常が記録された。しかし解析期間において雲の影響により地表面温度を観測できない日が数多く存在した。そのため今後の課題としてより時間解像度の高い静止衛星であるひまわり8・9号の衛星データを用いて解析を行う必要がある。