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[MIS10-P01] MODISデータを用いた2018年新燃岳の火山活動検知に関する研究
火山災害の多くは溶岩の噴出や火砕流などの地表付近の熱量の変動を伴う。人工衛星を用いた衛星リモートセンシングは地表面温度を広範囲にわたって高頻度で観測が可能である。したがって、従来では容易に地上観測できない位置にある活火山の効率的な火山活動監視が可能になり、防災・減災の観点から応用が期待されている。そこで本研究では人工衛星Aqua,Terraに搭載されている赤外線センサ(MODIS)を用いて、噴火口付近の地表面温度を観測することによって火山活動に伴う溶岩ドームや溶岩流といった強い熱源を検知することを目的とする。
本研究では、宮崎県と鹿児島県の県境に位置する新燃岳を研究対象とした。新燃岳では2011年に準プリニー式噴火やブルカノ式噴火が発生し、溶岩ドームの成長、火砕流などが確認されたことが報告されている。Tsutsumi et al.2020では2003年1月1日~2011年12月31日までのMODISデータを解析したところ、2011年の噴火活動について衛星SAR画像や飛行機による目視による溶岩ドームの確認よりも早く地表面温度の異常を検知した。そこで本研究では、噴火様式がほぼ同じとされていて溶岩ドームが形成された2018年の噴火活動を解析対象とし、2012年1月1日~2020年12月31日までのMODISデータを解析することでMODISによる溶岩活動の監視予測における有効性を検証した。
解析を行った結果、先行研究と同様に溶岩ドーム出現、成長やブルカノ式噴火が発生した日に対応して地表面温度の異常が記録された。しかし解析期間において雲の影響により地表面温度を観測できない日が数多く存在した。そのため今後の課題としてより時間解像度の高い静止衛星であるひまわり8・9号の衛星データを用いて解析を行う必要がある。