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[MIS10-P03] MSSA(マルチチャンネル特異スペクトル解析)を用いたULF電磁場信号の弁別について:グローバル信号の抽出と残差信号の性質
キーワード:MT法、MSSA(多変量特異スペクトル解析)、信号弁別、房総半島、ULF帯
ここでは, 7成分(Hx, Hy, Hz, Ex, Ey, Rx, Ry:H, E, R はそれぞれ, 観測点磁場, 観測点磁場, 参照点磁場を表し, x, y, zはそれぞれ南北, 東西, 鉛直成分を表す)の短周期信号(周期約40~約300秒)を対象とした場合の, 本手法の概要を述べる。
1. 生データにMSSAを適用し, 各成分を(7×窓長)個の主成分に分解する。
2. 分解した主成分のうち, 長周期信号を含む主成分を除き, 短周期信号を持つ主成分を足し合わせ, デトレンド時系列を作成する。
3. デトレンド時系列にMSSAを適用し, 各成分を(7×窓長)個の主成分に分解する。
4. 分解した主成分のうち, 主成分の振幅の大きいものに注目し, 電磁場間の相関の高い主成分を選択し, 足し合わせ, 電磁場信号時系列をそれぞれの成分について作成する。
本手法を房総半島の実データに適用し, 効果を確認したところ, 太陽起源のグローバル信号に対応する成分と, それ以外に対応する残差成分に分解することができた。具体的には, 磁場データでは1nT程度のグローバル信号以外の信号が抽出でき, 電場データでも誘導電流の効果をある程度低減できたといえる。また, 本手法で推定したグローバル信号について, Robust Remote Referenceを用いて, MT応答関数を推定した結果, 安定した見かけ比抵抗が得られたため, 本手法によって弁別された信号のうちグローバル信号は, もっともらしいグローバル信号であることがわかった。したがって, 本手法はULF電磁場変動に含まれるグローバル信号を除去する信号弁別法として有効な手法といえる。講演では, 特にグローバル信号と残差信号の性質について発表する予定である。