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[MIS13-05] 1804年象潟地震による津波堆積物の特徴
キーワード:津波堆積物、層厚、粒径、秋田県
新潟県から北海道西方までの日本海沿岸及びその沖合いの大陸斜面には第四紀に多くの逆断層が形成され,全体として長さ約1000km,幅100km以上に達する短縮変動帯(日本海東縁変動帯)がある.ここでは,1983年の日本海中部地震や1993年の北海道南西沖地震などが発生している.さらに過去の歴史時代に遡ると,1704年の岩館地震,1793年の西津軽地震等が発生し沿岸地域に大きな被害をもたらした.1804年(文化元年)に発生した象潟地震(M=7.3)もこれらの地震の一つであり,景勝地“象潟”をはじめ,広い範囲で海岸隆起が生じたほか,秋田県能代から山形県三瀬の沿岸域には津波が到来した.津波被害も局所的に甚大であり,津波の高さは象潟付近が最大で4~5mと推定されている(羽鳥,1986).しかしながら,この津波に関連するイベント堆積物については,これまで詳細な報告はなされていないため,掘削調査を行った.
調査地点は,にかほ市象潟町の海岸から約700m離れた水田から海岸線にほぼ直交する約500mの測線(測線1)と,海岸から約600m離れた水田から海岸線にほぼ水平に約300mの測線(測線2)を設定し,全長2mのハンディジオスライサーと全長1mのハンドコアラーを用いてコアの掘削を行った.また,日本海地震・津波調査プロジェクト(https://www.eri.u-tokyo.ac.jp/project/Japan_Sea/gaiyou.html)で掘削された深度8mのボーリングコア2本(KK1,KK2コア)も使用した.コア試料については,層相観察・記載,粒度分析を行うとともに,津波堆積物中に含まれる火山ガラスについてはEPMA(電子線プローブマイクロアナライザ)により主成分元素組成を測定し,調査地点に降灰している可能性がある広域テフラと対比した.
得られたコアの層相観察によると,耕作土の直下に砂層若しくはシルト混じりの砂層が存在し,これが貝殻混じりの砂およびシルトを主体する象潟層を覆う.砂層と象潟層の境界には明瞭な侵食面が認められ,砂層には象潟層由来の偽礫も含まれる.測線1については砂層の層厚は最大で23cmで,海側から内陸側に向かって薄層化し,海岸から約1300m付近で砂層はせん滅する.これらのことから,この砂層は突発的な海水の侵入によって運搬・堆積したイベント堆積物と考えられる.
掘削したコアのうち,KK2と測線1上の8本のコア内に含まれていた砂層(イベント堆積物)について,粒度分析を1cm毎に3回ずつ行い,粒径加積曲線とその中央値(D50)を用いて測定した.粒度分析によると砕屑粒子の平均中央値は1.91φ(KK2)~4.06φ(KK36)と中粒砂からシルトサイズまで変化し,海岸から内陸に向かって細粒化していくといった傾向が顕著である.
調査地点は,にかほ市象潟町の海岸から約700m離れた水田から海岸線にほぼ直交する約500mの測線(測線1)と,海岸から約600m離れた水田から海岸線にほぼ水平に約300mの測線(測線2)を設定し,全長2mのハンディジオスライサーと全長1mのハンドコアラーを用いてコアの掘削を行った.また,日本海地震・津波調査プロジェクト(https://www.eri.u-tokyo.ac.jp/project/Japan_Sea/gaiyou.html)で掘削された深度8mのボーリングコア2本(KK1,KK2コア)も使用した.コア試料については,層相観察・記載,粒度分析を行うとともに,津波堆積物中に含まれる火山ガラスについてはEPMA(電子線プローブマイクロアナライザ)により主成分元素組成を測定し,調査地点に降灰している可能性がある広域テフラと対比した.
得られたコアの層相観察によると,耕作土の直下に砂層若しくはシルト混じりの砂層が存在し,これが貝殻混じりの砂およびシルトを主体する象潟層を覆う.砂層と象潟層の境界には明瞭な侵食面が認められ,砂層には象潟層由来の偽礫も含まれる.測線1については砂層の層厚は最大で23cmで,海側から内陸側に向かって薄層化し,海岸から約1300m付近で砂層はせん滅する.これらのことから,この砂層は突発的な海水の侵入によって運搬・堆積したイベント堆積物と考えられる.
掘削したコアのうち,KK2と測線1上の8本のコア内に含まれていた砂層(イベント堆積物)について,粒度分析を1cm毎に3回ずつ行い,粒径加積曲線とその中央値(D50)を用いて測定した.粒度分析によると砕屑粒子の平均中央値は1.91φ(KK2)~4.06φ(KK36)と中粒砂からシルトサイズまで変化し,海岸から内陸に向かって細粒化していくといった傾向が顕著である.