日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS13] 津波堆積物

2022年5月26日(木) 10:45 〜 12:15 国際会議室 (IC) (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:山田 昌樹(信州大学理学部理学科地球学コース)、コンビーナ:石澤 尭史(東北大学 災害科学国際研究所)、渡部 真史(中央大学)、コンビーナ:谷川 晃一朗(国立研究開発法人産業技術総合研究所 活断層・火山研究部門)、座長:石澤 尭史(東北大学 災害科学国際研究所)、山田 昌樹(信州大学理学部理学科地球学コース)

11:30 〜 11:45

[MIS13-10] カナダ・バンクーバー島西岸における西暦1700年カスケード地震以前のイベント堆積物とその年代

*谷川 晃一朗1澤井 祐紀1、Bobrowsky Peter2、Huntley David3、Goff James4,5篠崎 鉄哉1伊藤 一充1 (1.国立研究開発法人産業技術総合研究所 活断層・火山研究部門、2.Geological Survey of Canada, Natural Resources Canada, Sidney, British Columbia、3.Geological Survey of Canada, Natural Resources Canada, Vancouver, British Columbia、4.School Biological, Earth and Environmental Sciences, University of New South Wales、5.School of Ocean and Earth Science, University of Southampton)

キーワード:イベント堆積物、年代測定、西暦1700年カスケード地震、バンクーバー島、カスケード沈み込み帯

カスケード沈み込み帯に隣接する北米大陸西岸では,沿岸の塩性湿地に残る地震性沈降及び津波の痕跡や深海底のタービダイトから,過去の巨大地震の履歴や規模などが検討されている.多くの古地震痕跡の研究から復元された履歴は,最新イベントである西暦1700年の地震(Mw 8.7–9.2)から約1万年前にまで遡る.陸上の地質痕跡とタービダイトの記録から推定される巨大地震の履歴は過去3000年間おおむね一致しているが,西暦1700年の一つ前の巨大地震の年代については両者に食い違いがあり,議論が続いている.
カスケード沈み込み帯北端部に面するカナダ・バンクーバー島西岸の塩性湿地や湖沼では主に1990年代に調査が行われ,西暦1700年及びそれ以前の古地震痕跡が報告されている.そこで,本研究では,バンクーバー島西南部の3か所の塩性湿地において,1700年の津波堆積物の下位のイベント砂層の年代を詳細に検討した.イベント砂層の上下の泥炭~粘土層から採取した植物化石の放射性炭素年代から,その堆積年代は西暦1330~1430年と推定された.この年代は,北米西海岸の陸上の古地震痕跡から推定されている,1700年の1つ前のイベント年代(西暦1030~1170年)より若い.一方,タービダイトから推定される1700年の1つ前のイベント年代(西暦1402~1502年)とは部分的に重なり,対比可能である.