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[MIS13-P01] 石垣島の洞窟に記録された大規模津波の堆積物とその痕跡
キーワード:津波堆積物、石垣島、洞窟、遺跡
八重山諸島では,複数の津波の痕跡が主として海岸沿いに分布する津波石によって得られている.この中でも1771年の明和津波は古文書,津波石,津波堆積物等から多くの情報が得られ,震源や規模などが推定されている.約2000年前にもこれをさらに上回る規模の津波が襲った可能性が津波石や堆積物から得られているが(沖縄先島津波),その地質学的情報は限られており,明和津波に比べるとその実態は良くわかっていない.八重山諸島では約2000年前を境に,下田原期から無土器期へと文化が変化したことが明らかになっており,これには大規模な津波の影響も示唆されているため,その実態を知ることは考古学的にも重要であるといえる.一方,八重山諸島の海岸から内陸部にかけては,琉球層群の石灰岩に形成された洞窟が多く分布することが知られている.洞窟は地表に比べて安定した環境であるため,その洞窟内部で成長した石筍には古環境記録が良く残されるが,石筍中からは津波を含む地表の様々なイベントの記録も得ることができる.石垣島東海岸沿いに分布する複数の洞窟の中には,明和津波によると思われる海棲生物遺骸を含むイベント堆積物およびその下位の厚い砂礫質堆積物が認められる.この粗粒な堆積物は,標高30 mを超える場所に認められる洞窟にも分布しており,おおよそ2000年前の年代を示すことが多い.本発表では,これらの堆積物の層相や年代,そしてその地理的広がりを紹介する.
本研究は,本研究はJSPS科研費JP20K04138およびJP21H04368の助成を受けて行われた.
本研究は,本研究はJSPS科研費JP20K04138およびJP21H04368の助成を受けて行われた.