10:00 〜 10:15
[MIS15-05] 2021年9月の北アルプス槍穂高西方の地震と落石
キーワード:群発地震、崖錐、登山道、山小屋、観光防災、日本アルプス
2021年9月19日17時18分頃,槍ヶ岳の北西側約2km,地下10km付近を震源とするM 5.3の地震が発生した.これによって,気象庁の飛騨市神岡町,京大防災研の高山市上宝町,テレビ松本の槍ヶ岳山荘のそれぞれの地震計が震度3,4,5弱を記録した.地震発生当時,筆者らは偶然にも南岳(震央から南南東4 km)近くのテント場におり,一瞬の地鳴りの直後,テント脇の風防用の石済みが崩れるの程のゆれに遭遇した.その翌朝には南側の大切戸,北穂高小屋を経て涸沢へ下ったが,登山道沿いでは新鮮な落石の堆積を認め,我々自身も小さな落石事故に巻き込まれた.この地震によるとみられる落石で一人の方が亡くなっている.ご冥福をお祈りします.
2021年9月19日は紅葉が進んだ晴天の日曜日であったが,地震の発生は殆どの登山者が行動を終えた夕方であり,一人が亡くなった以外は大きな事故は発生しなかった.しかし,今回のような地震は2020年4月頃の地震活動(最大M 5.5)や1998年8月頃の地震活動(M 5.6)ように,過去にも繰り返し発生している.また,この地域は急峻で不安定な岩場が多く,なおかつ人気の登山ルートが集中していることから,日頃から落石の事故が相次いでいる.したがって,この地域独自の地震と落石に対する備えが必要である.本論では,今回の地震の被害,および登山者や山小屋がどの様に対応したのかについて報告する.
2021年9月19日は紅葉が進んだ晴天の日曜日であったが,地震の発生は殆どの登山者が行動を終えた夕方であり,一人が亡くなった以外は大きな事故は発生しなかった.しかし,今回のような地震は2020年4月頃の地震活動(最大M 5.5)や1998年8月頃の地震活動(M 5.6)ように,過去にも繰り返し発生している.また,この地域は急峻で不安定な岩場が多く,なおかつ人気の登山ルートが集中していることから,日頃から落石の事故が相次いでいる.したがって,この地域独自の地震と落石に対する備えが必要である.本論では,今回の地震の被害,および登山者や山小屋がどの様に対応したのかについて報告する.