日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS15] 山の科学

2022年5月22日(日) 13:45 〜 15:15 201B (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:苅谷 愛彦(専修大学文学部環境地理学科)、コンビーナ:佐々木 明彦(国士舘大学文学部史学地理学科 地理・環境コース)、奈良間 千之(新潟大学理学部フィールド科学人材育成プログラム)、コンビーナ:今野 明咲香(常葉大学)、座長:苅谷 愛彦(専修大学文学部環境地理学科)、今野 明咲香(常葉大学)、佐々木 明彦(国士舘大学文学部史学地理学科 地理・環境コース)

13:45 〜 14:00

[MIS15-12] 白馬連山における3つの多年性雪渓の氷厚

*有江 賢志朗1奈良間 千之2福井 幸太郎3飯田 肇3 (1.新潟大学大学院自然科学研究科、2.新潟大学理学部、3.立山カルデラ砂防博物館)


キーワード:氷河、多年性雪渓、地中レーダー

飛彈山脈には100以上の夏になっても融けきらない多年性雪渓が分布している(樋口・五百沢,1971).近年,これら多年性雪渓のうち七つが,現存氷河であることが確認された(福井・飯田,2012;福井ら2018;有江ら,2019).しかしながら,飛彈山脈のすべての多年性雪渓で氷河調査は実施されておらず,飛彈山脈の氷河分布の全貌は明らかでない.そこで本研究は,雪渓面積が大きく,氷河の可能性が高い白馬村の杓子沢雪渓,不帰沢雪渓,白馬沢雪渓の地中レーダー探査によって,これら3つの雪渓の氷厚を測定し,氷河の可能性を検討した.
本研究の結果,杓子沢雪渓では最大氷厚約30m,不帰沢雪渓では最大氷厚約35m,白馬沢雪渓では最大氷厚約30m,の氷体があることが確認された.これまで確認された7つの氷河と,これら多年性雪渓の氷厚は同程度であった.したがって,白馬連山の杓子沢雪渓,不帰沢雪渓,白馬沢雪渓は氷河の可能性があることが示された.

Reference
Arie, K., Narama, C., Fukui, K., Iida, H. and Takahashi, K.: Ice thickness and flow of the Karamatsuzawa perennial snow patch in the northern Japanese Alps, Journal of the Japanese Society of Snow and Ice, 81(6), 283–295, doi:10.5331/seppyo.81.6_283, 2019.
Fukui, K. and Iida, H.: Identifying active glaciers in Mt. Tateyama and Mt. Tsurugi in the northern Japanese Alps, central Japan, Journal of the Japanese Society of Snow and Ice, 74, 213–222, 2012.
Fukui, K., Iida, H. and Kosaka, T.: Newly Identifying Active Glaciers in the Northern Japanese Alps and Their Characteristics, Geographical Review of Japan Series A., 91(1), 43–61, https://ci.nii.ac.jp/naid/40021445177/ , 2018.
Higuchi, K. and Iozawa, T.: Atlas of perennial snow patches in central Japan, Water Research Laboratory. Faculty of Science, Nagoya University., 1971.