11:00 〜 13:00
[MIS16-P01] 雪崩モデルを用いた確率論的ハザードマップ作成に関する研究
キーワード:雪崩、ハザードマップ、数値計算
雪崩等の重力流現象では、数値モデルを用いることで事例解析や到達距離の予測などが行われている。特に到達距離の予測はハザードマップ作成を考えるうえで重要である。数値モデルは入力として地形データやパラメータ・初期条件(どこで、どれくらいの量の雪崩が発生するかという雪崩の発生条件)を与えることで、出力として到達距離が得られる。しかしながら、モデルの振る舞いはパラメータに依存して大きく異なり、初期条件も時々刻々と様々な値を取りうる。そのため、予測精度を向上させるためには、数値モデルに含まれるパラメータを適切に与え、初期条件を適切に設定する必要がある。近年の逆解析による報告では、ある事象に対するモデルパラメータは一意に決まるのではなく、不確定性を持つとして分布形で表現される。また、初期条件も観測から適当な分布形で表される不確定性を仮定することができる。つまり、入力値(パラメータや初期条件)の持つ不確定性を計算結果に反映させることで、実用に値するハザードマップを作製できる可能性がある。
本研究ではこのような入力値の不確定性を考慮したハザードマップを確率論的ハザードマップと呼び、その作成方法について議論する。本発表では不確定性の評価手法としてサンプリングに基づくモンテカルロ法(MC)、ラテン超方格法(LHS)、数学的な展開に基づく多項式カオス求積法(PCQ)を取り扱い、比較を行う。サンプリングベースの手法では、不確定性を表す分布から直接入力値を決定し、それらを用いたモデル計算を行うのに対して、数学的な展開に基づく手法では、出力を多項式関数で近似できると仮定して、多項式の係数を求めるためにモデル計算を行う。これらの手法で作成したハザードマップは、基準とするハザードマップとの差分を取ることで正確性を評価し、正確性と計算回数の関係を求めた。ケーススタディとして不確定性を1つ含む全層雪崩を考えると、同じ計算回数で比較した場合にPCQ、LHS、MCの順で精度が高くなった。加えて、サンプリング手法では計算回数の増加に従って精度が向上するのに対して、PCQでは計算回数に対して精度向上がサチュレーションする様子が確認された。
本研究ではこのような入力値の不確定性を考慮したハザードマップを確率論的ハザードマップと呼び、その作成方法について議論する。本発表では不確定性の評価手法としてサンプリングに基づくモンテカルロ法(MC)、ラテン超方格法(LHS)、数学的な展開に基づく多項式カオス求積法(PCQ)を取り扱い、比較を行う。サンプリングベースの手法では、不確定性を表す分布から直接入力値を決定し、それらを用いたモデル計算を行うのに対して、数学的な展開に基づく手法では、出力を多項式関数で近似できると仮定して、多項式の係数を求めるためにモデル計算を行う。これらの手法で作成したハザードマップは、基準とするハザードマップとの差分を取ることで正確性を評価し、正確性と計算回数の関係を求めた。ケーススタディとして不確定性を1つ含む全層雪崩を考えると、同じ計算回数で比較した場合にPCQ、LHS、MCの順で精度が高くなった。加えて、サンプリング手法では計算回数の増加に従って精度が向上するのに対して、PCQでは計算回数に対して精度向上がサチュレーションする様子が確認された。