日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS18] 古気候・古海洋変動

2022年5月27日(金) 10:45 〜 12:15 304 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:長谷川 精(高知大学理工学部)、コンビーナ:岡崎 裕典(九州大学大学院理学研究院地球惑星科学部門)、山本 彬友(国立研究開発法人 海洋研究開発機構)、コンビーナ:山崎 敦子(九州大学大学院理学研究院)、座長:岡崎 裕典(九州大学大学院理学研究院地球惑星科学部門)

11:15 〜 11:30

[MIS18-19] 日本海中新統珪藻質堆積物に見られるorbitalスケールの変動とサイクル層序の適用 – 新潟県佐渡島中山層の例

*吉岡 純平1黒田 潤一郎2松崎 賢史2仁木 創太3平田 岳史3 (1.東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻、2.東京大学大気海洋研究所海洋底科学部門、3.東京大学理学系研究科附属地殻化学実験施設)


キーワード:サイクル層序、生物源シリカ、orbital forcing、XRF、中山層

新潟県佐渡島に分布する中山層は、中期中新世から後期中新世にかけて形成された珪藻質堆積物である。同様の珪藻質堆積物は、北海道から島根県にかけて日本海側の広い範囲で露出するほか、日本海の深海掘削コアにおいてもその存在が確認されており、日本海の広い範囲で珪藻が繁茂していたとされる。中山層は、その大部分が埋没続成作用による情報の改変を受けておらず、中緯度域の古環境復元への利用が期待される。また、佐渡島大佐渡南部に露出する中山層では、珪藻化石層序に基づく年代層序が組まれており、大まかな堆積年代が得られている。
本研究では、同地域において、およそ10.7–11.4 Maに相当する堆積物に対し、X線蛍光分析(XRF)装置を用いて主要元素組成を高時間分解度で分析した。その結果、Al2O3に対するSiO2の比が、地球軌道要素の周期に従って変動していることが明らかになった。これは、砕屑物に対する生物源シリカ(珪藻殻など)の比を反映していると考えられる。本研究では、この周期的な変動を利用し、サイクル層序の確立を試みた。サイクル層序の構築にあたり、今回得られた砕屑物に対する生物源シリカの比が、極域の氷床量を通して全球的な気候変動を表す指標であると考えられる底生有孔虫のδ18O変動曲線によく一致することから、このδ18O変動曲線に対してサイクル層序対比を行った。
また、今回検討行った区間に狭在される火山灰層から抽出したジルコンのU-Pb年代測定も行った。これは、ジルコンの晶出年代を示すものであり、ジルコン晶出と火山の噴出のタイミングにラグがある場合には、この火山灰層の堆積年代の下限を制約するものにすぎない。それにもかかわらず、得られたジルコンU-Pb年代は、調査区間における珪藻化石層序での年代モデルに2σの誤差範囲内で一致した。
本発表では、以上の結果に加えて、本地域における砕屑物に対する生物源シリカの比を支配する要因について、サイクル層序によって得られたAl2O3に対するSiO2の比の時系列変動の周期解析に基づいて議論を行う。