日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS19] 地球科学としての海洋プラスチック

2022年5月22日(日) 09:00 〜 10:30 106 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:磯辺 篤彦(九州大学応用力学研究所)、コンビーナ:川村 喜一郎(山口大学)、岡崎 裕典(九州大学大学院理学研究院地球惑星科学部門)、コンビーナ:土屋 正史(国立研究開発法人海洋研究開発機構 地球環境部門)、座長:磯辺 篤彦(九州大学応用力学研究所)、川村 喜一郎(山口大学)

09:25 〜 09:40

[MIS19-02] 深層学習を活用したマクロ漂着ごみの定量化

*日髙 弥子1杉山 大祐1、村上 幸史郎1加古 真一郎2松岡 大祐1 (1.国立研究開発法人 海洋研究開発機構、2.鹿児島大学)

キーワード:海岸漂着ごみ、マクロプラスチック、人工知能、深層学習、総量推定、海岸モニタリング

海岸は、人の生活圏と海洋が交わる場所であり、そこには河川や外洋から多様なごみが漂着する。海岸漂着ごみの70-90%はプラスチックごみであり、それらは、太陽光や風波の作用で破砕されマイクロ化すると考えられている。従って、海岸のマクロなプラスチックごみの変動を把握することは、海岸から流出するマイクロプラスチックの量を正確に見積もる上で重要である。我々は、海岸におけるマクロプラスチックごみの総量推定手法開発の第一段階として、深層学習を用いたマクロな海岸漂着ごみの総量推定技術の開発に取り組んでいる。これまでに、3500枚の海岸の画像から機械学習用の学習データを整備し、海岸の写真から、空、海、砂浜、人工漂着物、自然漂着物、設置物、自然物、背景の8クラスの領域をピクセルレベルで塗り分ける深層学習モデルを開発した。開発したモデルの精度は、定性的および定量的に評価され、テストデータ内の漂着物全体に対する検出精度は約80%程度であり、学習データを取得した海域とは異なる未学習の地点の画像に対しても手法の有効性が示された。さらに、地上で撮影された画像に対し、本手法で領域推定した結果を射影変換し被覆面積を計算した場合と3次元観測の実測値が存在するドローン画像上の同範囲の領域推定結果から被覆面積を計算した場合を比較し、射影変換による被覆面積推定の有効性を示した。本研究で使用した学習データは、既に、Sea Open Scientific Data Publication(SEANOE)で公開済であり、誰でも利用することが可能である。本発表では、これらの研究成果について発表するとともに、今後のさらなるプラスチックごみの定量化手法の開発の展望とその取り組み状況について発表する。