日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] ポスター発表

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[M-IS22] 歴史学×地球惑星科学

2022年5月29日(日) 11:00 〜 13:00 オンラインポスターZoom会場 (28) (Ch.28)

コンビーナ:加納 靖之(東京大学地震研究所)、コンビーナ:芳村 圭(東京大学生産技術研究所)、岩橋 清美(國學院大學)、コンビーナ:玉澤 春史(京都市立芸術大学)、座長:加納 靖之(東京大学地震研究所)、芳村 圭(東京大学生産技術研究所)

11:00 〜 13:00

[MIS22-P01] 前近代と近代以降の地震カタログの統合検索ツールの開発

*加納 靖之1 (1.東京大学地震研究所)

キーワード:歴史地震、地震カタログ、統合検索

前近代に発生した地震の震源位置やマグニチュードは,歴史資料の記述をもとに推定され,年表形式のカタログが作成されてきている.前近代に発生した地震についてより詳細に調べるにあたって,明治以降の観測にもとづいて作成された地震カタログや震度分布を参照するのが有効である。前近代と近代以降で別々の地震カタログとして整備されているが,前近代の地震にIDを付与した上で,これらのカタログを統合的に検索し,簡易的な分析を行えるツールを開発している.前近代の地震に関しては,震度の推定値の根拠となる史料の記述まで遡れるようにすることと,関連するデータベースへのリンクを提供することを目指している.
これまでに公開されている「[古代・中世] 地震・噴火史料データベース (β版)」,「ひずみ集中帯プロジェクト【古地震・津波等の史資料データベース】」,「都市の脆弱性が引き起こす激甚災害の軽減化プロジェクト【史資料データベース】」は史料集の情報をXMLにより構造化している.この地震史料のXMLでの定義に従い,地震史料集テキストデータベースの各記事に地震IDを付与した.
地震IDは地震の発生年月日が基準になっており,歴史地震に関係する多くのデータベースのデータとの対応を考えやすい.たとえば,「宇佐美(2010)の震度分布データ」は,「わが国の歴史地震の震度分布・等震度線図(改訂版)」に掲載されている地震カタログおよび震度分布をもとに構築した震度データベースである.このデータベースでは,個々の地震の発生年月日をIDとしている.このような関連するデータを一覧できるツールを試作した.現状では,上に挙げた地震史料集のテキストデータベースと地震カタログへのリンクまたは情報を表示できる.これにより,歴史地震の震度の推定値の根拠となった史料の記述まで遡れるようになる.
1919年以降に発生した地震については,気象庁震度データベースで検索できる.気象庁震度データベースでは,明示的には説明はないものの,日付と時刻をもとにしたIDによって表示が制御されている.地震史料集には,明治から昭和にかけてのいくつかの地震についての史資料も掲載されている.地震IDをもとに,史資料と観測された震度データを統合検索できるようにした.