日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS22] 歴史学×地球惑星科学

2022年5月29日(日) 11:00 〜 13:00 オンラインポスターZoom会場 (28) (Ch.28)

コンビーナ:加納 靖之(東京大学地震研究所)、コンビーナ:芳村 圭(東京大学生産技術研究所)、岩橋 清美(國學院大學)、コンビーナ:玉澤 春史(京都市立芸術大学)、座長:加納 靖之(東京大学地震研究所)、芳村 圭(東京大学生産技術研究所)

11:00 〜 13:00

[MIS22-P02] 関東周辺の史料を用いた1855年安政江戸地震の余震活動の分析

馬場 道人1、*加納 靖之1 (1.東京大学地震研究所)

キーワード:1855年安政江戸地震、余震活動

1855年安政江戸地震の余震活動の詳細を検討した.安政江戸地震は歴史資料に記録されており,本震については特に多くの研究がなされてきた.余震活動についても,活動度や有感範囲,余震の震源の推定などが可能である.ここでは,江戸および関東地域の多数の歴史資料から得られた震度データ点を分析した.
江戸と千葉の歴史資料をもとに余震の時系列変化を検討した.余震活動の減衰は大森宇津公式に従っていた.余震記録の合計数や余震の減衰の速さの地点による違いは,記録漏れによるものと考えられる.標準的な余震活動との比較からは,安政江戸地震の余震活動は,プレート内地震的であったことが示唆される.
新しく整備した余震カタログから比較的記録された歴史資料の多い10個の余震を選んだ.そのうち,最大余震は1855年11月16日の夕方の地震と考えられる.現代の地震観測による震度分布と,歴史資料による有感分布との比較から,余震の震源の位置や規模を推定した.最大余震の規模は,2005年7月23日に発生した千葉県北西部の地震(M6.0)よりも大きいと考えられる.ほかの8つの余震については規模はM4からM6程度であると推定される.11月15日に発生した余震は,本震や最大余震とは有感分布が異なっており,安政江戸地震の余震域の外で発生した地震である可能性がある.