日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS26] ガスハイドレートと地球環境・資源科学

2022年6月3日(金) 11:00 〜 13:00 オンラインポスターZoom会場 (32) (Ch.32)

コンビーナ:戸丸 仁(千葉大学理学部地球科学科)、コンビーナ:八久保 晶弘(北見工業大学)、後藤 秀作(産業技術総合研究所地圏資源環境研究部門)、座長:戸丸 仁(千葉大学理学部地球科学科)、尾張 聡子(東京海洋大学)

11:00 〜 13:00

[MIS26-P10] 海底長期温度計測による酒田沖海域での熱流量測定

*後藤 秀作1 (1.産業技術総合研究所)

キーワード:熱流量、長期温度モニタリング、海底水温変動、表層型ガスハイドレート、酒田沖海域

地殻熱流量(熱流量)は地球内部から地表面に向かって単位時間に単位面積を通過する熱量で、地下温度構造を推定するときに境界条件として使用される。熱流量は地温勾配と熱伝導率の積で計算される。海底水温が安定している海域では、地温勾配は複数の温度センサーを取り付けた数メートルの長さの温度プローブを堆積物にさし込み、堆積物の異なる深度の温度を計測することによって決定される。一方、海底水温変動の振幅が大きい海域では、海底水温変動が海底面付近の堆積物の温度を時間変化させるため、数メートルの温度プローブを海底堆積物にさし込む方法で信頼性の高い地温勾配計測は困難である。このような海域では、(1)長尺温度プローブを使用し、海底水温変動の影響が十分に減衰した海底下深度で温度計測を実施するか、もしくは(2)海底水温と海底面付近の堆積物の温度を同時に長期間モニタリングし、堆積物温度データから海底水温変動の影響を除去することで信頼性の高い地温勾配を得る方法が適用される。
日本海で表層型メタンハイドレートの存在が確認されている海域の1つである酒田沖海域の酒田海丘(仮称)では、海底水温変動によって海底面付近の堆積物の温度が時間変化していることが確認されている(後藤ほか、2016)。2020年11月、酒田海丘の海底下温度構造を推定することを目的に海丘上及びその周辺の9地点に海底水温計及び地中温度計を設置した。2021年6月にこれらの装置を回収し、全ての地点で海底水温及び海底堆積物温度データを取得した。本発表では、取得した海底水温及び海底堆積物温度データの特徴及びこれらのデータを用いて決定した熱流量について報告する。
本研究は、経済産業省のメタンハイドレート開発促進事業の一部として実施した。

参考文献
後藤秀作、沼波秀樹、佐藤幹夫、松林修、石田直人、松本良(2016)最上トラフ冷湧水域における海底下温度計測、表層型メタンハイドレートフォーラム(講演要旨)、明治大学グローバルフロント(東京・駿河台)