11:00 〜 13:00
[MIS27-P04] 2020年度冬季および2021年度冬季に高度測定用検出器GOOSEで得られた2つの雷ガンマ線グローの解析
キーワード:雷ガンマ線、電子加速域のジオメトリ、コリメータ検出器、Geant4
冬季の日本海沿岸部では、雷雲中の静電場によって相対論的速度まで加速され雪崩増幅した電子による制動放射ガンマ線が観測され、そのエネルギーは30 MeVにも達する。具体的には、1 ms 以下の瞬間に放射される地球ガンマ線フラッシュと、雷雲そのものが数分にわたってガンマ線を放射するガンマ線グローが知られている。この加速のメカニズムを解明するため、我々は GROWTH (Gamma-ray Observation of Winter Thunderclouds) 実験と題して2006年から冬季日本海沿岸部での観測を行なっている。
石川県金沢市に設置したグローの高度測定用検出器GOOSEは、真上向きと東西方向傾き30度のコリメータ検出器3台、コリメータのない検出器1台の計4台の結晶シンチレータ検出器で構成されている。2021年1月9日に観測された明るいグローのデータを解析したところ、真上向きの検出器がより明るくよりハードなスペクトルを持っており、制動放射の相対論的ビーミングの証拠と考えられる。上空の電子加速源からの大気伝搬と検出器応答を取り込んだGeant4シミュレーションによりスペクトルを評価したところ、例えば500 m上空の加速源が、検出器の横130-210 mの上空を通過したモデルなどでスペクトルは概ね説明できることがわかった。
このグローの時間変動では、東西と真上向きコリメータ検出器の間で大きな時間差がみられなかった。コンパクトで時間変動のない加速源が風で流されるモデルでグロー の時間変動をGeant4でシミュレーションしたが、東西コリメータ検出器の時間差がはっきり見えるはずであり、加速源が最接近しているときの真上コリメータのカウント数は東西コリメータのそれの7-8倍に達すると示唆されたが、観測では2倍程度だった。得られたデータだけでは詳細なジオメトリの議論はできないものの、加速源が空間的に広がっていることが強く示唆された。本講演では、2021年1月9日のグローのデータを用いて加速域の空間的な広がりにどこまで制限ができるか簡単に考察し、今後の観測装置の開発および配置の方向性を議論する。また、これに加え2022年2月16日に観測された雷ガンマ線グローを含む2021年度冬季のデータ解析を速報する。
石川県金沢市に設置したグローの高度測定用検出器GOOSEは、真上向きと東西方向傾き30度のコリメータ検出器3台、コリメータのない検出器1台の計4台の結晶シンチレータ検出器で構成されている。2021年1月9日に観測された明るいグローのデータを解析したところ、真上向きの検出器がより明るくよりハードなスペクトルを持っており、制動放射の相対論的ビーミングの証拠と考えられる。上空の電子加速源からの大気伝搬と検出器応答を取り込んだGeant4シミュレーションによりスペクトルを評価したところ、例えば500 m上空の加速源が、検出器の横130-210 mの上空を通過したモデルなどでスペクトルは概ね説明できることがわかった。
このグローの時間変動では、東西と真上向きコリメータ検出器の間で大きな時間差がみられなかった。コンパクトで時間変動のない加速源が風で流されるモデルでグロー の時間変動をGeant4でシミュレーションしたが、東西コリメータ検出器の時間差がはっきり見えるはずであり、加速源が最接近しているときの真上コリメータのカウント数は東西コリメータのそれの7-8倍に達すると示唆されたが、観測では2倍程度だった。得られたデータだけでは詳細なジオメトリの議論はできないものの、加速源が空間的に広がっていることが強く示唆された。本講演では、2021年1月9日のグローのデータを用いて加速域の空間的な広がりにどこまで制限ができるか簡単に考察し、今後の観測装置の開発および配置の方向性を議論する。また、これに加え2022年2月16日に観測された雷ガンマ線グローを含む2021年度冬季のデータ解析を速報する。