日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-SD 宇宙開発・地球観測

[M-SD42] 将来の衛星地球観測

2022年5月24日(火) 09:00 〜 10:30 104 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:本多 嘉明(千葉大学環境リモートセンシング研究センター)、コンビーナ:高薮 縁(東京大学 大気海洋研究所)、コンビーナ:Sobue Shinichi(Japan Aerospace Exploration Agency)、コンビーナ:小原 慧一(宇宙航空研究開発機構)、座長:本多 嘉明(千葉大学環境リモートセンシング研究センター)

10:15 〜 10:30

[MSD42-05] ひまわり後継衛星の検討状況について

*別所 康太郎1大和田 浩美1、坂下 卓也1、安部 実希1、山本 幹人1 (1.気象庁)

キーワード:静止気象衛星、ひまわり、後継衛星計画

気象庁で運用している静止気象衛星ひまわり8号・9号については,2022年12月頃に8号から9号へとその役割を交代しつつ,2029年度頃に運用を終える予定である.ひまわりは気象庁の気象業務だけでなく,国内外で幅広く利用されており,宇宙からの気象観測体制を切れ目なく維持していくためには,2028年度頃にはその後継となる衛星を打ち上げる必要がある.わが国の宇宙基本計画では,2029年度めどの後継機の運用開始に向け,2023年度をめどに後継機の製造に着手する,とされている.
また,国土交通省の交通政策審議会気象分科会は,2030年の科学技術を見据えた気象業務のあり方を提言として取りまとめている.その中では,重点的な取組事項の一つとして観測・予測精度向上のための技術開発が謳われており,気象・気候に関わる具体的な目標として,「半日前からの早め早めの防災対応等に直結する(線状降水帯の発生・停滞等に伴う集中豪雨の)予測精度の向上」や,「数日前からの大規模災害に備えた広域避難に資する台風・集中豪雨などの予測精度向上」が挙げられている.これらの目標を実現するための具体的な取組内容として,気象衛星を含む気象庁の基幹的かつ総合的な観測網について,更なる充実・高度化を進めることとされている.
近年の気象災害は,台風のみならず,線状降水帯に伴う集中豪雨など極端な気象現象が顕著に現れるようになっている.これらの監視・予測のためには大気の気温や水蒸気の状態を常時,広範囲かつ立体的に観測することが重要である.静止衛星であるひまわりには,日本を含む広く西太平洋を常時監視できるという極軌道衛星などの周回衛星にはない長所がある.この強みを活かしつつ,ひまわりの後継衛星に最新の技術を導入することでその気象観測・予測能力を飛躍的に向上させて,自然災害の防止に寄与していくことが喫緊の課題となっている.本発表では,気象庁における後継衛星の検討状況を報告する.