12:00 〜 12:15
[MTT46-06] 精密農業のための温室内における小型ドローンの活用と効率的な画像選択の仕組み作り
キーワード:小型ドローン、SfM、室内、自動飛行、精密農業
精密農業では、成長段階の個々の植物の形質値データを取得し、栽培手法を最適化していく事が重要である。農業の場では計測対象や項目が膨大になりがちなため、自動化によるデータ収集と解析も重要である。現在の形質値調査は多くの計測自動化技術が進んでおり、デジタルカメラによる画像計測がなされているが、効率よく多くの植物の撮影をしていく事に課題がある。この点について、ドローンやロボットなどの自動化による野外での計測はなされているが、室内でのドローンの使用は研究段階である。ドローンにはロボットにはない障害物耐性とデータ取得時の姿勢の柔軟性があり、特に高く育つ植物に対して活用されることが考えられる。そこで我々は温室内で小型ドローンを活用して、自動で静止画データを収集し、詳細な成長状況を解析するシステムを開発している。
今回我々は、温室内において、植物個体認識用のタグ等を極力設置せずに、小型ドローンによって静止画データを取得することを想定し、取得された様々なアングルを持つ大量の画像セットから、必要な画像を効率的に選択することを可能とする方法を構築した。まず、撮影位置の相対位置やカメラのパラメータをSfM(Structure from Motion)法によって推定する。さらに、植物や関心領域を既知の位置としてバウンディングボックスを作り、これを各画像へ投影するという流れである。室内や植物は似た特徴が反復するためにSfMの結果が破綻しやすい。このためドットパターンを付与した柱を設置することで特徴点を増やし、計算結果が安定するようにした。投影された結果により、関心領域の各画像における内外判定や、どこに撮像されているかを判断し、さらに投影されたボックスを白く示してマスク画像として出力する。これにより、どの画像のどこに対象物が位置しているかを知ることができる。今回、この解析システムを温室内に長さ15m、高さ2mの畝を作り、トマトを35株植え、画像データセットに適用したところ、SfMの結果が安定することを確認した。また、育成棚に設置した柱にマーカーを取り付けて長さを計測し、SfMによって再構築された点群内のマーカー間距離を比較したところその誤差は0.5%程度となった。これは手計測の精度を上回るものであると言える。このため、形質値計測にも十分使用できることが確認された。
本システムはアングル柔軟性の高いドローンによる画像収集の自動化と画像の効率的な選択が可能となり、今後の精密農業での活用が期待される。
今回我々は、温室内において、植物個体認識用のタグ等を極力設置せずに、小型ドローンによって静止画データを取得することを想定し、取得された様々なアングルを持つ大量の画像セットから、必要な画像を効率的に選択することを可能とする方法を構築した。まず、撮影位置の相対位置やカメラのパラメータをSfM(Structure from Motion)法によって推定する。さらに、植物や関心領域を既知の位置としてバウンディングボックスを作り、これを各画像へ投影するという流れである。室内や植物は似た特徴が反復するためにSfMの結果が破綻しやすい。このためドットパターンを付与した柱を設置することで特徴点を増やし、計算結果が安定するようにした。投影された結果により、関心領域の各画像における内外判定や、どこに撮像されているかを判断し、さらに投影されたボックスを白く示してマスク画像として出力する。これにより、どの画像のどこに対象物が位置しているかを知ることができる。今回、この解析システムを温室内に長さ15m、高さ2mの畝を作り、トマトを35株植え、画像データセットに適用したところ、SfMの結果が安定することを確認した。また、育成棚に設置した柱にマーカーを取り付けて長さを計測し、SfMによって再構築された点群内のマーカー間距離を比較したところその誤差は0.5%程度となった。これは手計測の精度を上回るものであると言える。このため、形質値計測にも十分使用できることが確認された。
本システムはアングル柔軟性の高いドローンによる画像収集の自動化と画像の効率的な選択が可能となり、今後の精密農業での活用が期待される。