日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-TT 計測技術・研究手法

[M-TT46] Introducing metaverse to agriculture. Are we ready?

2022年6月3日(金) 11:00 〜 13:00 オンラインポスターZoom会場 (35) (Ch.35)

コンビーナ:二宮 正士(国立大学法人東京大学大学院農学生命科学研究科)、コンビーナ:高橋 幸弘(北海道大学・大学院理学院・宇宙理学専攻)、座長:二宮 正士(国立大学法人東京大学大学院農学生命科学研究科)

11:00 〜 13:00

[MTT46-P02] 角度依存マルチスペクトルによる農作物状態判別にふさわしい機械学習の探索

*成瀬 延康1、金井 岳志1 (1.滋賀医科大学 医学部医学科)

キーワード:機械学習、角度依存スペクトル

次世代農業に欠かせない超小型衛星やドローンを用いたリモートセンシングでは, 波長幅を絞った狭帯域バンドでの多波長スペクトル撮影が精度を上げるとして期待されているが, 現状では広く利用されるに至っていない。この理由は、多波長スペクトルを毎回撮像していたのではデータが膨大になることや、入射光・検出光の角度に依存してスペクトルが変わるため視野が限定されてしまうこと、依然高価な赤外光検出器などにより、原理実証はできてもコストが下がらないためである。また、農作物から観測されるスペクトルには、材料科学分野で見られるような特徴的なスペクトルピークが少ないので、状態判別に用いるスペクトルの変化はごくわずかであることもその判別を難しくしている。この課題を克服するために, 地上において, 光照射角・計測方向とスペクトルとの関係の詳細なデータベース「スペクトルライブラリー」を極めて効率的に構築すること, またそれを作物の状態や収穫量などのデータと紐付けることが重要であると考え、これまで我々は、小型分光器を利用したスペクトルライブラリーの構築に取り組んできた。こうした角度依存スペクトルのライブラリーから状態判別に特徴的な狭帯域バンドを選び出す方法には、データが膨大であるが故に機械学習が適していると考えられる。
 本研究では、角度依存スペクトルから状態判別に特徴的な狭帯域バンドを選び出すための適切な機械学習法の探索を目的として、サポートベクターマシン(Support Vector Machine: SVM)と、深層畳み込みニューラルネットワーク (Convolutional Neural Network: CNN)の両方の手法で比較する。具体的には、水稲の施肥管理の指標となる葉色カラースケール(CF360 水稲用・富士平工業)の角度依存スペクトルを450nm-700nmの範囲でスペクトルを室内にてハロゲンランプを用いて合計3675セット撮影し、1-7段階の色の違い・計測角度(仰角2°刻みで、水平を0として34-84°)の分類精度をSVMとCNNとで比較した。狭帯域波長幅は5,10,30nmとして比較した。
 その結果、SVMでの分類精度が高いこと、38-54°の分類精度が高いことなどがわかった。この結果を基に、中毒事故が後をたたないニラとスイセンの誤食を防ぐ目的から両者のスペクトルによる高精度分類を目指して、実際のスペクトルを計測し、SVMによる狭帯域波長バンドの抽出とその分類精度を議論した。