11:00 〜 13:00
[MZZ47-P01] 海山平頂部および裾野部における生物攪拌構造の形態解析
キーワード:巣穴、X線CTスキャン、深海、ベントス
海底に生息する底生生物による堆積物の混合,すなわち生物攪拌は海底生態系において最も重要な作用の一つである.生物攪拌の性質を明らかにすることは,より深く海底生態系を理解するためには欠かせない.今回我々は,北西太平洋海山の山頂部と裾野部から堆積物コアを採取し,その中の生物攪拌構造を観察した.産総研地質調査総合センターに設置されたX線CTスキャンを用いてコアに含まれる生物原堆積構造を可視化し,画像解析ソフトウェアAmiraを用いて得られた三次元データの形態解析を行った.CTデータ中で識別できる全ての生物原堆積構造をトレースし,その直径や伸長角度を解析した.海山裾野部で採取されたコアには無数の生物原堆積構造が見られ,その平均直径及び伸長角はそれぞれ約2 mmおよび30度であった.また,生物原堆積構造の直径と伸長角の間には有意な負の相関が見られた:大きな生痕ほど,水平方向に伸長する傾向が見られた.海山裾野部とは対照的に,海山山頂部で採取されたコアには,明瞭な生物攪拌構造はほとんど存在しなかった.