日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-ZZ その他

[M-ZZ47] 海底マンガン鉱床の生成環境と探査・開発

2022年5月29日(日) 11:00 〜 13:00 オンラインポスターZoom会場 (30) (Ch.30)

コンビーナ:臼井 朗(高知大学海洋コア総合研究センター)、コンビーナ:鈴木 勝彦(国立研究開発法人海洋研究開発機構・海底資源センター)、コンビーナ:高橋 嘉夫(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)、コンビーナ:伊藤 孝(茨城大学教育学部)、座長:伊藤 孝(茨城大学教育学部)、鈴木 勝彦(国立研究開発法人海洋研究開発機構・海底資源センター)、高橋 嘉夫(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)、臼井 朗(高知大学海洋コア総合研究センター)

11:00 〜 13:00

[MZZ47-P03] 海洋鉱物資源開発候補地域における深海性ベントスの遺伝的集団構造

*喜瀬 浩輝1井口 亮1,2、池上 拓志3、大西 庸介3、後藤 浩一3、田中 裕一郎1、Washburn Travis1、西島 美由紀1、國島 大河1,4、加藤 正悟5、松井 隆明6、岡本 信行7鈴木 淳1,2 (1.国立研究開発法人産業技術総合研究所・地質情報研究部門、2.国立研究開発法人産業技術総合研究所・環境調和型産業技術研究ラボ、3.株式会社KANSOテクノス、4.和歌山県立自然博物館、5.いであ株式会社、6.日本海洋生物研究所、7.独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構)

キーワード:深海鉱物資源開発、ベントス、DNAバーコーディング、遺伝的集団構造

深海鉱物資源開発が近年注目を集めており、それに関連した環境ベースライン調査の実施が求められている。本研究では、北西太平洋における海洋鉱物資源開発候補地域で見られる深海性ベントスの集団構造に関する基礎情報を、分子集団遺伝学的解析で明らかにすることを目的とした。これまでの環境ベースライン調査で採取された優占する種を対象に、ミトコンドリアのcytochrome c oxidase subunit I遺伝子領域によるDNAバーコーディング解析と集団遺伝解析を行った。アナゴ類の場合、各集団で高い遺伝的多様性が見られ、集団間での有意な遺伝的分化も検出されず、集団間で高い連結性が維持されていることが示唆された。コンゴウアナゴに関しては、一塩基多型解析でも高い連結性が確認された。端脚類に関しては、分子系統解析により、単一種と推定されるものが複数見つかり、遺伝的多様性が低いものも見られた。我々はまた、1種類の甲殻類に関しては、高い遺伝的多様性を維持していることを確認した。本研究の結果は、海洋鉱物資源開発候補地域で見られる深海性ベントスの遺伝的集団構造に関する重要な基礎的知見であり、外部からの撹乱に対する集団への影響を推定することや、将来的な連結性解析の候補種の選定に役立つことが期待される。