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[MZZ47-P06] 海底沈着実験による元素濃集のメカニズム解明
キーワード:マンガンクラスト、マンガン団塊、沈着実験、レアメタル
2001-2016年の間に,海底沈着実験によって,材質の異なる人造のプレートを海底面に設置し、最大15年間放置し、回収した。この分析結果にもとづいて,OMZでも酸化物が懸濁物として安定に存在しそれが集積することにより,深海底のマンガンクラストや団塊生成の素過程である,という新モデルを提案している (Usui et al., 2017)。過年度のSIPプロジェクトなどで認められている様々なスケールでの海底マンガン鉱床の多様性は,このモデルに合致している。同時に,この沈着実験では,メンブレンフィルターに密封した,buserite微結晶の懸濁物を海中に放置した。海水と反応した懸濁物を高感度の化学分析や鉱物分析に基づいて,マンガン酸化物による,特定の溶存金属元素の濃縮メカニズムを明らかにする。これらの微粒子を海水中での初生沈殿物(hydrogenetic)と見なして、組成、構造、結晶性、成長速度を把握する。金属の濃縮現象を現場で観察、分析する実験は、過去に例が無い。合成物と海水との反応の結果を明らかにすることによって、海水から特定の金属元素が濃集する仕組み、酸化物の集積によるマンガンクラストや団塊の成長メカニズムなども理解することが期待される。