日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-ZZ その他

[M-ZZ48] 再生可能エネルギーと地球科学

2022年5月31日(火) 11:00 〜 13:00 オンラインポスターZoom会場 (34) (Ch.34)

コンビーナ:大竹 秀明(国立研究開発法人 産業技術総合研究所 再生可能エネルギー研究センター)、コンビーナ:野原 大輔(電力中央研究所)、コンビーナ:島田 照久(弘前大学大学院理工学研究科)、コンビーナ:宇野 史睦(日本大学文理学部)、座長:大竹 秀明(国立研究開発法人 産業技術総合研究所 再生可能エネルギー研究センター)

11:00 〜 13:00

[MZZ48-P05] 北日本に吹き込む冬季季節風が日本海の海面水温分布から受ける影響

*佐藤 司1島田 照久2 (1.弘前大学大学院地域共創科学研究科、2.弘前大学大学院理工学研究科)

キーワード:海上風・洋上風、海面水温、日本海、洋上風力エネルギー

再エネ海域利用法の施行以来、日本における洋上風力エネルギー開発が急速に進んでいる。再エネ海域利用法に基づいて指定される促進区域、あるいは促進区域の指定を目指す地域の多くは北日本の日本海側の海域である。そのため、北日本の日本海側の海域は、洋上風力発電推進の中心地域となることが期待される。この海域では、冬季の季節風に伴う豊富な風力エネルギーを利用できる。しかし、日本列島に吹き込む季節風は、日本海の海面水温の影響を大きく受けるため、その影響のさらなる理解が求められている。
本研究では、気象モデルWRFによるシミュレーションを用いて、北日本に吹き込む冬季季節風へのSSTの影響について解析を行った。現実の海面水温(SST)分布と仮想的なSST分布の2つを用意し、その結果を比較することで風あるいは大気構造に対するSSTの影響を考察する。対象とした期間は、顕著な寒波が発生した2020年12月30日から2021年1月3日である。まず、現実のSSTを気象モデルに入力し、寒波に伴う海上風と大気場の特徴を明らかにした。次に、現実のSSTと仮想的なSSTを入力した時のシミュレーション結果を比較することにより、SSTの影響を解析した。仮想的なSSTは、対馬暖流の沖側の水温勾配を抑えて、暖水が沖に広がった状況に対応する。現実のSSTより仮想的なSSTの方が高い海域に風が流入すると、すぐに風速の増加が始まる。沿岸域でSSTの差がない海域に流入すると、現実のSSTを入力したときの風速に徐々に近づいていく。以上より、北日本に吹き込む冬季季節風に対する、日本海の沿岸SST分布の影響を明らかにすることができた。また、風力エネルギー資源量やその変動に対する示唆を得ることができた。