日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-ZZ その他

[M-ZZ49] 人新世の地球システム論:環境・都市・社会

2022年5月27日(金) 10:45 〜 12:15 101 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:石川 正弘(横浜国立大学大学院環境情報研究院)、コンビーナ:山本 伸次(横浜国立大学大学院環境情報研究院)、コンビーナ:高橋 幸弘(北海道大学・大学院理学院・宇宙理学専攻)、コンビーナ:原田 尚美(国立研究開発法人海洋研究開発機構)、座長:原田 尚美(国立研究開発法人海洋研究開発機構)、山本 伸次(横浜国立大学大学院環境情報研究院)

10:45 〜 11:00

[MZZ49-01] 人新世の地球システム論:環境・都市・社会の複眼的視点

*石川 正弘1 (1.横浜国立大学大学院環境情報研究院)

キーワード:人新世、地球システム

現代は世界の人口の半分以上が都市部に住んでおり、人類の活動によって自然環境システムが急速に破壊され都市などの人工環境システムが急拡大する時代である。まさに「人新世」と呼ばれ、地球システムが環境・都市・社会・情報によって大きく変革する時代である。地球温暖化や気候変動によって人類社会への脅威が危惧されている時代でもあり、経済活動のグローバル化によってグローバルサウスにおける労働力と自然環境の搾取が暴走してきた。搾取のしわよせはグローバルサウスの社会と自然環境だけではなく、地球温暖化のように代償が未来へとリスク移転されているものもある。人新世の地球システムの特徴は、都市や社会というローカルにおける人間社会活動が自然環境に影響を及ぼす一方で、グローバルな地球環境変動が個々の地域社会や人間に影響することである。そして時間を超えて未来の社会や人間に影響を及ぼすことである。したがって持続可能な社会に向けて、地球システムを環境・都市・社会などの複眼的視点から俯瞰することが重要である。例えば、O‘Neil et al. (2018)はプラネタリー・バウンダリーの視点から気候変動、土地システムの変化、淡水の使用、および生物地球化学的フローにエコロジカル・フットプリントとマテリアル・フットプリントを加えてバイオフィジカル・バウンダリーという指標を提案し、バイオフィジカル・バウンダリー指標と社会的指標(栄養、衛生、収入、エネルギー、教育、社会的支援、平等、民主的品質、雇用、人生の満足度、健康寿命)を用いることで世界各国の地球資源の利用と生活満足度について評価した。彼らのこの取り組みはまさに自然科学と社会科学の融合であり、人新世の地球システム論を議論する先駆的研究といえるであろう。ここでは地球システムを環境・都市・社会などの複眼的視点から議論を行う。