12:00 〜 12:15
[MZZ52-06] 愛媛県今治産「大島石」の岩石記載
〜特に「石目」について〜
キーワード:花崗岩、大島石、マイクロクラック
【はじめに】 愛媛県今治市大島北部で産出される大島石は、花崗岩質石材として全国的に有名で、国会議事堂や赤坂離宮、各種記念碑、墓石などに用いられている。大島石の特徴として、(1)風化に強いこと、(2)「目」、「二番」、「シワ」と呼ばれる互いに垂直な3方向の「石目」があり、割れやすさが異なること、(3)各「石目」に平行な面によって研磨後の色調が異なること、が知られている。大島石の採掘は今治の重要な地場産業の一つであり、上記の特徴を示す要因について明らかにすることは、地域貢献としても意義深いと思われる。本研究では、大島石試料を14ヶ所の採石場から採集し、肉眼観察および偏光顕微鏡観察による詳細な岩石記載を行ない、上記の3つの特徴について検討した。
【研究手法】 本研究では野外調査と室内実験を行った。野外調査では、大島石が産出する採石場14ヵ所へ赴き、サンプルを採集した。室内実験として、六面体試料作成(14試料)および鉱物量比測定(14試料)、薄片作成(42試料)および鉱物量比測定(42試料)、マイクロクラック観察(45試料)を行った。
【結果】 六面体試料の肉眼観察から、大島石は等粒状組織を呈しており、「目」の面は白っぽく、「シワ」の面は黒っぽく、「二番」の面は両者の中間の色調であった。一部の採石場からは「ナデ」と呼ばれる流理構造もみられた。偏光顕微鏡による薄片試料の観察から、大島石は半自形粒状組織を呈している。六面体試料および薄片試料の鉱物量比測定より、各「石目」の面を構成する鉱物の量比には有意な差異は認められなかった。また顕微鏡観察により、長さ0.1〜5 mm程度のマイクロクラックと、長さ0.1〜1 mm程度のヒールドマイクロクラックが確認できた。マイクロクラックの配列方向と発達度合いには「石目」の方向に対応した規則性があり、「シワ」の面に平行なもの、「二番」の面に平行なもの、「目」の面に平行なもの、の順にマイクロクラックの発達度合いが大きくなる。
【考察】 得られた結果から、大島石の3つの特徴について検討した。(1)風化に強い特徴については、大島石はマイクロクラックの長さが短く連結していないため、水が岩石内部まで浸透しにくく、水を介した化学的風化が進行しにくいと思われる。また、大島石の吸水率は他の花崗岩質石材と比べても低く、大島石の風化に強いという性質は、低い吸水率として表れていると考えられる。(2)「石目」の成因については、「石目」に平行なマイクロクラックの発達度合いと、「石目」の割れやすさの順序が対応しているため、「石目」はマイクロクラックの配列とその発達度を反映したものと考えられる。(3) 3つの「石目」の面の色調の関係についても、マイクロクラックの配列方向および発達度と対応している。マイクロクラックが光の反射面になったと考えると、「石目」ごとの色調の違いをうまく説明できる。
【研究手法】 本研究では野外調査と室内実験を行った。野外調査では、大島石が産出する採石場14ヵ所へ赴き、サンプルを採集した。室内実験として、六面体試料作成(14試料)および鉱物量比測定(14試料)、薄片作成(42試料)および鉱物量比測定(42試料)、マイクロクラック観察(45試料)を行った。
【結果】 六面体試料の肉眼観察から、大島石は等粒状組織を呈しており、「目」の面は白っぽく、「シワ」の面は黒っぽく、「二番」の面は両者の中間の色調であった。一部の採石場からは「ナデ」と呼ばれる流理構造もみられた。偏光顕微鏡による薄片試料の観察から、大島石は半自形粒状組織を呈している。六面体試料および薄片試料の鉱物量比測定より、各「石目」の面を構成する鉱物の量比には有意な差異は認められなかった。また顕微鏡観察により、長さ0.1〜5 mm程度のマイクロクラックと、長さ0.1〜1 mm程度のヒールドマイクロクラックが確認できた。マイクロクラックの配列方向と発達度合いには「石目」の方向に対応した規則性があり、「シワ」の面に平行なもの、「二番」の面に平行なもの、「目」の面に平行なもの、の順にマイクロクラックの発達度合いが大きくなる。
【考察】 得られた結果から、大島石の3つの特徴について検討した。(1)風化に強い特徴については、大島石はマイクロクラックの長さが短く連結していないため、水が岩石内部まで浸透しにくく、水を介した化学的風化が進行しにくいと思われる。また、大島石の吸水率は他の花崗岩質石材と比べても低く、大島石の風化に強いという性質は、低い吸水率として表れていると考えられる。(2)「石目」の成因については、「石目」に平行なマイクロクラックの発達度合いと、「石目」の割れやすさの順序が対応しているため、「石目」はマイクロクラックの配列とその発達度を反映したものと考えられる。(3) 3つの「石目」の面の色調の関係についても、マイクロクラックの配列方向および発達度と対応している。マイクロクラックが光の反射面になったと考えると、「石目」ごとの色調の違いをうまく説明できる。