09:00 〜 09:25
[O05-01] 社会科教科書における自然災害・防災に関する内容の特徴
★招待講演
キーワード:社会科、地理教育、防災、教科書
社会科は、防災教育を担う中心的な教科の1つとしての役割を果たしてきた。1990年代前半までは、初期社会科の一時期を除いて学習指導要領における防災の取り扱いは少なかったが、1995年の阪神・淡路大震災以降は、防災への関心の高まりを背景として、学習指導要領における自然災害・防災に関する内容の充実が図られてきた。特に、東日本大震災後に告示された小学校学習指導要領(2017年)では、第4学年で「過去に県内で発生した自然災害」を取り上げることが必須となった。また、中学校学習指導要領(2018年)においても、「日本の様々な地域の学習」における防災学習の重視が改訂の要点の1つに挙げられ、自然災害・防災の内容が拡充された。高校の新たな必履修科目「地理総合」でも防災が学習内容の1つの柱と位置づけられ、小学校から高校までの系統的な防災学習が実現できる環境が整いつつある。
こうした学習指導要領の改訂に伴い、当然ながら教科書における自然災害・防災に関する内容も質・量ともに充実してきた。最新版の社会科教科書の内容を見ると、全体として公助に関する内容が多いものの、小学校・中学校ともに自助・共助・公助それぞれの役割を重視した学習を実現できるような工夫が見られ、内容の大幅な改善がなされている。しかし、その一方で、子どもが当事者意識を持ちやすい市町村スケールの学習の充実、自然災害の発生の仕組みに関する理科との連携の必要性、発達段階に即した小学校・中学校の防災学習のあり方など、今後検討すべき課題も存在する。特に、防災教育の目的である①地域を知り、災害に備える力、②発災時に生き抜く力、③復興する力の育成には、子どもの当事者意識の醸成が不可欠であり、市町村スケールでの防災学習の充実が望まれる。
こうした学習指導要領の改訂に伴い、当然ながら教科書における自然災害・防災に関する内容も質・量ともに充実してきた。最新版の社会科教科書の内容を見ると、全体として公助に関する内容が多いものの、小学校・中学校ともに自助・共助・公助それぞれの役割を重視した学習を実現できるような工夫が見られ、内容の大幅な改善がなされている。しかし、その一方で、子どもが当事者意識を持ちやすい市町村スケールの学習の充実、自然災害の発生の仕組みに関する理科との連携の必要性、発達段階に即した小学校・中学校の防災学習のあり方など、今後検討すべき課題も存在する。特に、防災教育の目的である①地域を知り、災害に備える力、②発災時に生き抜く力、③復興する力の育成には、子どもの当事者意識の醸成が不可欠であり、市町村スケールでの防災学習の充実が望まれる。