日本地球惑星科学連合2022年大会

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[J] 口頭発表

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[O-05] 小中学校新教科書から読み解く自然災害教育の課題

2022年5月22日(日) 10:45 〜 12:15 展示場特設会場 (2) (幕張メッセ国際展示場)

コンビーナ:岩田 真(広島県立大柿高等学校)、コンビーナ:飯田 和也(駒場東邦中学高等学校)、冨樫 民樹(埼玉県立春日部高等学校)、コンビーナ:今野 良祐(筑波大学附属坂戸高等学校)、座長:冨樫 民樹(埼玉県立春日部高等学校)、宮嶋 敏(埼玉県立熊谷高等学校)、岩田 真(広島県立大柿高等学校)、飯田 和也(駒場東邦中学高等学校)、今野 良祐(筑波大学附属坂戸高等学校)

12:00 〜 12:15

[O05-10] 中学校社会科における防災教育~新学習指導要領に基づく実践報告~

★招待講演

*青柳 慎一1 (1.久喜市立栗橋西中学校)

キーワード:防災、自然災害、地理

本発表は、中学校社会科について、新しい教科書の自然災害や防災に関する取扱いと授業実践の報告を目的とする。新学習指導要領では、地理的分野で自然災害や防災の内容が示されている。地理的分野では、大項目「日本の様々な地域」の中で自然災害や防災について学習する。
 中項目「地域調査の手法」は、地域調査の方法を身に付けることをねらいとする。教師は自分の学校区に基づいて学習単元を構成する必要がある。教科書は調査事例を示している。私の勤務する中学校区は利根川に接していて、過去に水害の被害を受けている。そこで、水害からの避難をテーマにして地域調査を行った。防災教育のねらいとして、地域の自然災害についての知識を身に付けること、避難時に起こる危険について考察することを組み合わせた。資料として小学校の副読本の年表、市の広報の記事、地形図、空中写真、ハザードマップを利用した。学校周辺のフィールドワークを行い、避難時の危険について考察した。そして、家庭学習で自宅から避難場所までの経路を調査し、その結果を地図にまとめた。学習後のアンケート結果から、防災意識の高まりが認められた。
 中項目「日本の地域的特色と地域区分」は、自然災害、防災を基に日本の自然環境の特色を理解することをねらいの1つにしている。教科書では、地震や火山の噴火、台風など様々な自然災害を取り上げ概観している。授業では、教科書の記述を基に、様々な自然災害の関連を図にまとめる作業を行った。さらに、防災対策について考えた。教科書は、被災地への支援についても取り上げている。授業では、教科書の事例をもとに、自助、共助、公助の連携について考察した。「日本の諸地域」では、地域的特色を考察する方法の1つに「自然環境を中核とした考察の仕方」が設定されている。例えば、授業では、九州地方の学習単元で、火山とともに暮らす人々の営みについて取り上げた。教科書の記述を基に、火山のめぐみや生活上の問題、防災の取組などを図にまとめ、自然災害に対する防災が地域の課題になっていることについて理解を深めた。地震や火山については、理科学習との関連に留意した。
 「地域の在り方」について、新学習指導要領は主題を例示していないが、教科書には主題の1つに防災が例示されている。授業では、生徒の居住地域を取り上げ、水害対策や高齢化に着目して地域の在り方を考察した。