日本地球惑星科学連合2022年大会

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[J] ポスター発表

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[O-08] 高校生ポスター発表O08-P41~P60

2022年5月29日(日) 15:30 〜 17:00 オンラインポスターZoom会場 (1) (Ch.01)

15:30 〜 17:00

[O08-P44] 「固体版クロマトグラフィ」をめざして 第3報
〜微小重力と磁場勾配を用いて岩石構成粒子から化石を分離・同定〜

*小園 雄大1、和田 章久1、大久保 柊1、塚本 ひなた1、藤谷 まい2 (1.大阪府立今宮工科高等学校 定時制の課程、2.大阪府立大手前高等学校 定時制の課程)


キーワード:微小重力、磁気分離、反磁性物質、微化石、固体版クロマトグラフィ

私たち定時制科学部グループは,反磁性固体粒子の混合物を,物質の種類ごとに分離・回収できる原理を提案し,実際に装置を製作し実験を行ってきた.昨年度は磁気回路を改良し,永久磁石ながら磁極間の最大磁場が1Tを上回るものができ,分離の精度を上げることができた.分解能は0.4×10-7 emu/gである.
今回,貝の化石(CaCO3)を含む第四紀泥質岩(京都宇治山田)から,化石をこの装置により選別することを試みた.岩石試料は,フリーズソウ法で構成粒子に分解した.この固体試料をふるい分けした後に,表面に付着した微粒子(多くは常磁性の微粒子)をアルコールで洗浄した.分解能を上げた装置を用いて岩石構成粒子を磁気分離した.常磁性粒子や強磁性粒子の鉱物構成粒子は,磁場中心の方向に引かれ磁場の外には出なかった.反磁性粒子は,磁場の外へ並進運動を行った.貝化石の成分はCaCO3で反磁性である.抽出した反磁性粒子は,すでに得られた検量線から CaCO3であると推定できた.SEM-EDSを用いてこれらの粒子の成分分析を行った.予想どおり,その成分は,CaとCとOで占められ,CaCO3であることを確認した.抽出した化石は,その形状から貝化石の破片であると考えられる.
岩石構成粒子から磁化率を利用して化石を選別することが可能となった.混合粒子から目的の粒子を抽出できたことで,この装置は「固体版クロマトグラフィ」として活用できる. 今後は,有孔虫(CaCO3),放散虫(SiO2)やケイ藻(SiO2)の抽出を目指したい.このような化石を含む大量の混合試料を効率的に分離できる装置の開発も行う予定である.