15:30 〜 17:00
[O08-P51] 下総台地北西部美濃輪湧水の水質変化と集水域環境
キーワード:湧水、美濃輪湧水、下総台地
Thiほか(2009)は,千葉県市川市北東部に位置する美濃輪湧水において雨水浸透施設の地下水涵養と湧水保全の効果について検証した.しかしながら,この研究では注水と流出に関する水量的な検討はなされているが,水質の変化についての言及はされなかった.
そこで本研究では,Thiほか(2009)で示されなかった美濃輪湧水の降水と水質の関係性,および季節変化について明らかにすることを目的とする.加えて,千葉県市川市付近に存在する7つの湧水(美濃輪湧水,二子藤の池,二子浦の池,七面大明神,弁天池公園,秋山湧水,羅漢の井)の水質を比べることで涵養域の環境を明らかにすることも試みた.
美濃輪湧水については,2020年9月18日から2022年1月28日に水質調査を行った.測定項目は気温, 水温, pH, RpH, 電気伝導度である. ただし測定時刻の補正は行っていない. その結果,美濃輪湧水の年平均水温は17.6℃で,夏以外は小さな季節変化を示した.また,年平均気温は17.8℃であった.新井(2004)によれば日本における地下恒温層上限の温度は年平均気温にほぼ等しいか1〜3℃高いのが普通である.このことから,美濃輪湧水は下総台地の恒温層(地中温度の季節変化が消失する層)上限付近を流れている可能性が高いことがわかった.さらに,Thiほか(2009)では成田層およびローム層の透水係数がそれぞれ1.58×10^-3 cm/s,4.35×10^-4 cm/sであり,動水勾配が1/100であることが示されている.また,井田(2019)では透水係数が10^-3オーダーである場合,間隙率は40%程度であることが,安池,鈴木(1986)ではローム層の間隙率が76%〜79%であること,垂直方向の透水係数は水平方向のそれよりも3倍から20倍大きいことが示されている.これらのことから,美濃輪湧水は帯水層に滞留する地下水を雨水が浸透することにより押し出すピストン流である可能性を提案する.このことはpHとRpHの差が一年を通してほぼ一定であることとも整合性が取れる.
また,市川市周辺の下総台地に位置する7つの湧水で2021年11月14日に水質調査を行った.その測定結果と地形の起伏から考えた推定集水域より,下総台地北西部の湧水は全体的に狭い涵養域であり,早い水循環の湧水が多いことがわかった.
そこで本研究では,Thiほか(2009)で示されなかった美濃輪湧水の降水と水質の関係性,および季節変化について明らかにすることを目的とする.加えて,千葉県市川市付近に存在する7つの湧水(美濃輪湧水,二子藤の池,二子浦の池,七面大明神,弁天池公園,秋山湧水,羅漢の井)の水質を比べることで涵養域の環境を明らかにすることも試みた.
美濃輪湧水については,2020年9月18日から2022年1月28日に水質調査を行った.測定項目は気温, 水温, pH, RpH, 電気伝導度である. ただし測定時刻の補正は行っていない. その結果,美濃輪湧水の年平均水温は17.6℃で,夏以外は小さな季節変化を示した.また,年平均気温は17.8℃であった.新井(2004)によれば日本における地下恒温層上限の温度は年平均気温にほぼ等しいか1〜3℃高いのが普通である.このことから,美濃輪湧水は下総台地の恒温層(地中温度の季節変化が消失する層)上限付近を流れている可能性が高いことがわかった.さらに,Thiほか(2009)では成田層およびローム層の透水係数がそれぞれ1.58×10^-3 cm/s,4.35×10^-4 cm/sであり,動水勾配が1/100であることが示されている.また,井田(2019)では透水係数が10^-3オーダーである場合,間隙率は40%程度であることが,安池,鈴木(1986)ではローム層の間隙率が76%〜79%であること,垂直方向の透水係数は水平方向のそれよりも3倍から20倍大きいことが示されている.これらのことから,美濃輪湧水は帯水層に滞留する地下水を雨水が浸透することにより押し出すピストン流である可能性を提案する.このことはpHとRpHの差が一年を通してほぼ一定であることとも整合性が取れる.
また,市川市周辺の下総台地に位置する7つの湧水で2021年11月14日に水質調査を行った.その測定結果と地形の起伏から考えた推定集水域より,下総台地北西部の湧水は全体的に狭い涵養域であり,早い水循環の湧水が多いことがわかった.