15:30 〜 17:00
[O08-P53] 成田空港の滑走路に沿った霧の分布 ー2011年~2012年の例ー
キーワード:霧、成田空港
空港年間利用者数が日本の1、2位を占め、(航空;空港管理状況-国土交通省より引用)、まさに日本の空の玄関口と言える羽田空港と成田空港であるが、両空港の直線距離は約60kmしか離れていない。それにもかかわらず、羽田空港は海上に、そして成田空港は内陸の台地に位置するといった、両空港の立地条件の違いから、空港の気象条件は大きく異なっている。特に霧日数に関しては、山田(1978)より1973〜1977年において、羽田空港の年平均11.0日に対し、成田空港周辺は年平均53.2日と、霧の発生が目立つ。成田空港に発生する霧について藤部(1985)は成田空港開港前後の気象観測データから風向範囲別霧時間数の分析を行っている。しかしながら1978年の開港から50年近く経過し、周囲の市街地の拡大や、空港自体の拡張によって成田空港内外の環境が変化し、霧の分布にも影響を与えていることが考えられる。
そこで本研究では、成田空港A滑走路に発生した霧と、2002年に供用開始されたB滑走路に2011〜2012年に発生した霧を、藤部(1985)と同じ手法で分析した。分析に当たってはA滑走路に平行して3か所、B滑走路に平行して2か所に設置してある観測施設において、成田航空地方気象台が観測した2011年と2012年の気象観測データのうち、主に風向風速、RVR(滑走路視距離)の項目を用いた。さらに、B滑走路供用開始による観測地点が増えたことを利用して、合計5つの観測点のRVR値をもとに、霧の分布を示す等視程線図を作成した。それぞれの滑走路における風向範囲別霧時間数を分析した結果、A滑走路(Fig. 1.)では、滑走路に平行な風が吹いている状態で霧が発生した際、風上側の霧時間数が風下側よりも長い傾向は変化しておらず、依然として霧が滑走路上で消散する傾向にあった。一方で、滑走路に直交な向きから風が吹いている場合は、1977~1984年と比較して観測点間の霧時間数の大小関係が変化していた。これは空港周辺の成田市の市街地の拡大、そして空港の拡張によって、舗装面や建物が増加し、霧粒が建物等に捕捉され、霧が消散しやすくなったことが原因だと推測される。しかしながらB滑走路では、滑走路に平行な風が吹いている状態で霧が発生した際、風上側の霧時間数が風下側の霧時間数よりも短い、またはほぼ差がないという結果になったため、B滑走路(Fig. 2.)ではA滑走路とは異なり、霧が移動している際に滑走路上で消散しない可能性がある。また、北風時の深夜から早朝にかけて霧が発生した2011年11月14日の例を対象に、ある時刻ごとの等視程線図を時系列に沿って複数作成した結果(Fig. 3~7.)、霧が成田空港に発現する際は、風上側である空港の北側から発現し、風下側に移動していくものの、霧が空港に差し掛かると、空港の中央において視程が周囲よりも急速に回復し、霧が空港の中央で引っかかったような分布となることが分かった。空港は市街地と同様、広い舗装面と多くの建物が存在しているために、霧粒がそれらに捕捉されやすく、霧が周辺と比べて空港内では消散しやすいためだと推測される。
そこで本研究では、成田空港A滑走路に発生した霧と、2002年に供用開始されたB滑走路に2011〜2012年に発生した霧を、藤部(1985)と同じ手法で分析した。分析に当たってはA滑走路に平行して3か所、B滑走路に平行して2か所に設置してある観測施設において、成田航空地方気象台が観測した2011年と2012年の気象観測データのうち、主に風向風速、RVR(滑走路視距離)の項目を用いた。さらに、B滑走路供用開始による観測地点が増えたことを利用して、合計5つの観測点のRVR値をもとに、霧の分布を示す等視程線図を作成した。それぞれの滑走路における風向範囲別霧時間数を分析した結果、A滑走路(Fig. 1.)では、滑走路に平行な風が吹いている状態で霧が発生した際、風上側の霧時間数が風下側よりも長い傾向は変化しておらず、依然として霧が滑走路上で消散する傾向にあった。一方で、滑走路に直交な向きから風が吹いている場合は、1977~1984年と比較して観測点間の霧時間数の大小関係が変化していた。これは空港周辺の成田市の市街地の拡大、そして空港の拡張によって、舗装面や建物が増加し、霧粒が建物等に捕捉され、霧が消散しやすくなったことが原因だと推測される。しかしながらB滑走路では、滑走路に平行な風が吹いている状態で霧が発生した際、風上側の霧時間数が風下側の霧時間数よりも短い、またはほぼ差がないという結果になったため、B滑走路(Fig. 2.)ではA滑走路とは異なり、霧が移動している際に滑走路上で消散しない可能性がある。また、北風時の深夜から早朝にかけて霧が発生した2011年11月14日の例を対象に、ある時刻ごとの等視程線図を時系列に沿って複数作成した結果(Fig. 3~7.)、霧が成田空港に発現する際は、風上側である空港の北側から発現し、風下側に移動していくものの、霧が空港に差し掛かると、空港の中央において視程が周囲よりも急速に回復し、霧が空港の中央で引っかかったような分布となることが分かった。空港は市街地と同様、広い舗装面と多くの建物が存在しているために、霧粒がそれらに捕捉されやすく、霧が周辺と比べて空港内では消散しやすいためだと推測される。