日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 O (パブリック) » パブリック

[O-08] 高校生ポスター発表O08-P61~P80

2022年5月29日(日) 15:30 〜 17:00 オンラインポスターZoom会場 (2) (Ch.02)

15:30 〜 17:00

[O08-P61] サボニウス型風力発電機に関する研究 〜2枚羽と3枚羽の比較から〜

*嶋津 莉緒1、*中村 萌愛1、*宮脇 佑歌1 (1.福井県立若狭高等学校)


キーワード:風力発電

現在日本では、地震や豪雨などの自然災害が多発している。例えば、2011年3月の東日本大震災(M9.0)、2016年4月の熊本地震(M7.3)、2019年8月の九州北部豪雨、2021年7月の伊豆山土砂災害がある。その際、電気や水道などのライフラインが停止し、避難所での電力不足問題が発生している。そこで私たちは、再生可能エネルギーを使用しており、夜間にも発電が可能な風力発電に注目した。しかし、一般的に用いられている風車型風力発電機は、風向きに依存し、風が弱い地域での活用が困難である。私たちは、本校の先輩の先行研究から、全方位からの風に対応し、微風でも発電が可能であるサボニウス型風力発電機を用いることに有効性を感じた。一方で、サボニウス型風力発電機は、風車型風力発電機と比べて、発電力が低く大規模発電には向いていない。しかし、風が強い地域ばかりで災害が起こるとは限らない。つまり、いつどこで起こるか分からない災害に対応するには、サボニウス型風力発電機が最適であると考えた。
私たちの研究の最終目的は、サボニウス型風力発電機を組み立て式に改良し、避難所などで簡単に電気を作り出せるようにすることだ。現在は発電力が小さく実用段階ではないため、サボニウス型プロペラの形状を改良し、風のエネルギーを効率良く捉えることで、発電力を向上させることを第一の目的とした。私たちは、一般的に2枚であるサボニウス型プロペラの羽の枚数を、3枚に増やすことで、発電機に取り込まれる風量が増やせるのではないかという仮説を立てた。なぜなら、 同じ風量でも風を取り込まない方の羽に対して、直角に風を受ける2枚羽と、斜めに風を受ける3枚羽では、3枚羽の方が風によって逆方向に回そうとする風の力が小さくなると考えたためだ。
まず、プラスチックダンボールを用いて、2枚羽と3枚羽のサボニウス型プロペラを同質量で製作した。そして、回転数と電力を比較した。回転数の比較では、2枚羽の方が回転速度が速いことがわかった。3枚羽は、1枚1枚の羽が2枚羽よりも小さく中心部分の空洞が広いため、風の抜けは良いが受けは悪いと考えられる。電力の比較では、最大電力は2枚羽が8.72×10^-4 (±0.90×10^-4)w(100Ω)、3枚羽は7.98×10^-4 (±0.84×10^-4)w(100Ω)と、2枚羽の方が大きいことがわかった。しかし、2枚羽、3枚羽共に先行研究0.0041wよりも値が小さくなった。その原因として、先行研究よりプロペラの高さが高く、扇風機の風をプロペラの全面積が受けることができなかったのではないかと考えた。
最後にt検定を行った。有意水準5%で平均値に差があるといえる。よって、2枚羽の方が発電力が大きい。
今後は、プロペラの構造と全面積が風を受けていないことを確認するために、ドライアイスを用いて風の軌道を可視化したいと考えている。そして、全面積に風が当たるようにして実験を行う。