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[O08-P67] 海藻を媒体としたカーボンニュートラル
キーワード:海洋
我々は世界中の様々な企業で実現が目指されているカーボンニュートラルという取り組みを知った。カーボンニュートラルとは炭素の排出量と吸収量を等しくすることである。そこで、その実現を研究の大きな目標とすることにした。カーボンニュートラルと海洋研究をつなげることは出来ないかと考えた我々は、藻類の二酸化炭素隔離・貯留システムであるブルーカーボンと藻類の微生物発酵によるメタン生成を考えた。従来のバイオマスエネルギーでは、トウモロコシやサトウキビなどの植物で精製していた。しかしこれでは灌漑用水が大量に必要な上、日本は狭く起伏が激しいため、大量生産に向いていない。また、トウモロコシやサトウキビ自体が食料と競合してしまう上、これらの植物をバイオマスエネルギー用として育てることで農地とも競合してしまう。一方、藻類をエネルギーに変えられるならば、それは持続可能なエネルギーとなりえる。日本は海に囲まれているため、藻類を飼育するための環境は整えられていると考えられる。我々はそのブルーカーボンと微生物発酵を結び付けて、二酸化炭素を吸収した海藻をメタンに変えてエネルギーとして利用するという炭素の循環、つまりカーボンニュートラルを実現するための実験を行うことにした。藻類をバイオマスエネルギーとして利用した事例がないか模索したところ、干潟の泥に存在している微生物を利用して、藻類をメタンにすることに成功した事例を発見した。そこで、今回は干潟の泥を用いて発酵をおこなうことにした。また、いきなり藻類を発酵させることは難しいため、今回は前段階として酢酸とグルコースでメタン生成を行い、実験に慣れてから海藻を藻類させる実験に挑戦しようと思う。今回はその成果を報告する。