15:30 〜 17:00
[O08-P72] 太陽光発電と気象条件について
キーワード:太陽光発電、Python
はじめに
本校は2016年2月より太陽光パネル(シリコン多結晶、250W/台×80枚、図1)による発電を行っている。2020年には先輩が、本校の太陽光パネルから毎日収集されている発電量の毎分データ(1年分)をPythonを用いて分析した。本研究では,太陽光発電の発電量に,気象条件がどの程度影響するかを明らかにしたいと考え,5年分(2017年~2021年)のデータを分析した。
先行研究:『太陽光発電のエネルギー~本校の太陽光発電パネルから考える~』
立川高校SS課題研究Ⅱ収録集 畠山友翔(2020年)
研究方法
本校の太陽光発電の5年分(2017年〜2021年)の1分ごとの発電量のデータ(約210万件)を入手し,以下の値をPythonを用いて算出し,分析する。
また,本校天文気象部の気象観測データ(約3万5000件)や気象庁から得た気象データを使って,気象条件との関連を調べる。
Q(d) 1日当たりの積算発電量:1日分の発電量の総和=1分毎の発電量の総和
R(d) 日別の1分当たりの発電量:1日の積算発電量/日照時間
=1分間発電量の日平均
※日照時間は日射量が0より大きい時間とする。
Q(m) ひと月当たりの積算発電量:1か月分の発電量の総和
R(m) 月別の1分当たりの発電量:1分間発電量の月平均
結果と考察
図2~5は,2018年~2021年の1日当たりの積算発電量Q(d)と(日)別の1分当たりの平均発電量R(d)をそれぞれグラフにしたものである。グラフの発電量が特徴的な期間について,気象庁HPの「過去の天気図」「過去の気象データ検索」から、どのような天候の変化や天気現象があったかを探り,以下にまとめた。
・発電量が減った時期は,停滞前線や台風,温帯低気圧などの影響を受けていると考えられるケースが多かった。これは天候により日射が減ったためと考えられる。梅雨前線が長期間停滞し,東京で観測史上最低の日照時間を記録した2020年7月は,特に積算発電量の減少幅が顕著であった。
・各年の平均積算発電量(1年間の総発電量/日数)は,1日あたり約67~72kWhであった(欠測の多い年があるため,厳密には比較できない)。
・湿度が高いほど発電量は少なくなる傾向がやや見られた。これは雨や空気中のエアロゾルによって日射強度が弱くなったためと考えられる。
図6は,各月のひと月当たりの積算発電量Q(m) を,図7は各月の月別の1分当たりの発電量R(m)を グラフ化したものである。
・ひと月当たりの積算発電量Q(m)は9月~12月に少ない。9月10月は秋雨前線や台風などにより日射量が減ったことの影響が大きいと考えられる。しかし,11月12月は月別の1分当たりの発電量R(m)が多いことから,晴れた日が多かったと考えられ,日照時間が関係していると推測される。
・月別の1分当たりの発電量R(m)は2,4月に多く,9,10月に少なめであるが,ひと月当たりの積算発電量Q(m)のような大きな差異は見られない。
・2月は月別の1分間発電量の月平均R(m)が最も多いが,ひと月当たりの積算発電量Q(m)は4月が最大であり,それほど多くない。これは2月に晴れた日が多いことと関連していると推測される。
図8は,顕著な天候であった日の,1日の発電量の変化を示したものである。
・夏と冬を比較すると,日照時間の長い夏のほうが発電量は多い。
・晴れの場合も、雲によって太陽光が遮られる場合、一時的に発電量が半減する。雨や雪が降った場合、発電量は極端に少なくなり、特に雪が降った場合に大きく減少したのは,パネル上に雪が積もったためではないかと考えられる。
結論
積算発電量Q(d),Q(m)や1分当たりの発電量R(d),R(m)は天候に大きく影響を受けていると考えられる。特に、雨や雪の日は晴れの日と比べて発電量が少なかった。また、積算発電量Q(d),Q(m)は季節によって変化し、9月~12月に少ない傾向であるが,春から夏にかけては年による変化が大きく,天候の変化が影響すると考えられる。1分当たりの発電量R(d),R(m)は積算発電量Q(d),Q(m)ほどの大きな差は見られないが、1月~4月に多く,日射量の多い夏に最大となるわけではない。
今後の展望
さらに詳しい気象条件(天気、視程、黄砂、雲量)や日射量と発電量との関係を探りたい。
本校は2016年2月より太陽光パネル(シリコン多結晶、250W/台×80枚、図1)による発電を行っている。2020年には先輩が、本校の太陽光パネルから毎日収集されている発電量の毎分データ(1年分)をPythonを用いて分析した。本研究では,太陽光発電の発電量に,気象条件がどの程度影響するかを明らかにしたいと考え,5年分(2017年~2021年)のデータを分析した。
先行研究:『太陽光発電のエネルギー~本校の太陽光発電パネルから考える~』
立川高校SS課題研究Ⅱ収録集 畠山友翔(2020年)
研究方法
本校の太陽光発電の5年分(2017年〜2021年)の1分ごとの発電量のデータ(約210万件)を入手し,以下の値をPythonを用いて算出し,分析する。
また,本校天文気象部の気象観測データ(約3万5000件)や気象庁から得た気象データを使って,気象条件との関連を調べる。
Q(d) 1日当たりの積算発電量:1日分の発電量の総和=1分毎の発電量の総和
R(d) 日別の1分当たりの発電量:1日の積算発電量/日照時間
=1分間発電量の日平均
※日照時間は日射量が0より大きい時間とする。
Q(m) ひと月当たりの積算発電量:1か月分の発電量の総和
R(m) 月別の1分当たりの発電量:1分間発電量の月平均
結果と考察
図2~5は,2018年~2021年の1日当たりの積算発電量Q(d)と(日)別の1分当たりの平均発電量R(d)をそれぞれグラフにしたものである。グラフの発電量が特徴的な期間について,気象庁HPの「過去の天気図」「過去の気象データ検索」から、どのような天候の変化や天気現象があったかを探り,以下にまとめた。
・発電量が減った時期は,停滞前線や台風,温帯低気圧などの影響を受けていると考えられるケースが多かった。これは天候により日射が減ったためと考えられる。梅雨前線が長期間停滞し,東京で観測史上最低の日照時間を記録した2020年7月は,特に積算発電量の減少幅が顕著であった。
・各年の平均積算発電量(1年間の総発電量/日数)は,1日あたり約67~72kWhであった(欠測の多い年があるため,厳密には比較できない)。
・湿度が高いほど発電量は少なくなる傾向がやや見られた。これは雨や空気中のエアロゾルによって日射強度が弱くなったためと考えられる。
図6は,各月のひと月当たりの積算発電量Q(m) を,図7は各月の月別の1分当たりの発電量R(m)を グラフ化したものである。
・ひと月当たりの積算発電量Q(m)は9月~12月に少ない。9月10月は秋雨前線や台風などにより日射量が減ったことの影響が大きいと考えられる。しかし,11月12月は月別の1分当たりの発電量R(m)が多いことから,晴れた日が多かったと考えられ,日照時間が関係していると推測される。
・月別の1分当たりの発電量R(m)は2,4月に多く,9,10月に少なめであるが,ひと月当たりの積算発電量Q(m)のような大きな差異は見られない。
・2月は月別の1分間発電量の月平均R(m)が最も多いが,ひと月当たりの積算発電量Q(m)は4月が最大であり,それほど多くない。これは2月に晴れた日が多いことと関連していると推測される。
図8は,顕著な天候であった日の,1日の発電量の変化を示したものである。
・夏と冬を比較すると,日照時間の長い夏のほうが発電量は多い。
・晴れの場合も、雲によって太陽光が遮られる場合、一時的に発電量が半減する。雨や雪が降った場合、発電量は極端に少なくなり、特に雪が降った場合に大きく減少したのは,パネル上に雪が積もったためではないかと考えられる。
結論
積算発電量Q(d),Q(m)や1分当たりの発電量R(d),R(m)は天候に大きく影響を受けていると考えられる。特に、雨や雪の日は晴れの日と比べて発電量が少なかった。また、積算発電量Q(d),Q(m)は季節によって変化し、9月~12月に少ない傾向であるが,春から夏にかけては年による変化が大きく,天候の変化が影響すると考えられる。1分当たりの発電量R(d),R(m)は積算発電量Q(d),Q(m)ほどの大きな差は見られないが、1月~4月に多く,日射量の多い夏に最大となるわけではない。
今後の展望
さらに詳しい気象条件(天気、視程、黄砂、雲量)や日射量と発電量との関係を探りたい。